オフィスに固定電話は必要?
設置するメリット・デメリットやクラウドPBXについても解説
オフィスにおける通信手段として、固定電話の存在は重要視されていますが、最近ではクラウドPBXというシステムにより、従来の固定電話の必要性が問われています。
そこで本記事では、オフィスに固定電話を設置するメリット・デメリットについて詳しく解説し、また、固定電話を設置せずに利用できるクラウドPBXについてもご紹介します。
会社の経営者の方々や新たなビジネスを検討している方々にとって、固定電話の有無でのコミュニケーション手段に関する決断は重要な要素となるはずです。ぜひ、最適な選択のために本記事を参考にしてみてください。
オフィスに固定電話を置くメリット
オフィスに固定電話を置くメリットとしては以下の5つが挙げられます。
- FAXが使える
- 手続きの手間が減る
- 業務効率が上がる
- 社会的信用が高くなる
- 仕事とプライベートの線引きがしやすくなる
これらのメリットを踏まえて、固定電話の必要性を検討してみましょう。
FAXが使える
近年、ペーパーレス化が進んでいる一方で、FAXの需要はまだまだ根強く存在しています。そのため、オフィスに固定電話を設置することで、FAXを使用できるという利点があります。
インターネットFAXという手段もありますが、割高な場合が多く、使用頻度によってはコストの面でデメリットとなることもあります。固定電話契約によりFAXを利用する場合、同じ回線を共有しているため追加費用が発生せず、費用の節約が可能です。
手続きの手間が減る
企業の信頼性を高めるためにも、公的な機関や金融機関は法人の連絡先として固定電話番号を要求することがあります。そのため、オフィスに固定電話を置いておくことで、法人登記や銀行口座開設、法人用クレジットカード作成といった重要な手続きがスムーズに進められます。
また、固定電話では電話番号の変更がほとんどありません。したがって、再申請手続きや連絡先の変更手続きが不要になるため、時間や労力を節約することができます。大切なビジネス上のやり取りや手続きを円滑かつ迅速に行う必要性から考えると、固定電話の利用は有益です。
業務効率が上がる
固定電話を使うことで、同時に複数の受発信が可能となります。例えば、複数の従業員が同時に電話対応をする必要がある場合でも、固定電話ならば複数の通話を同時に行うことができるため、電話対応の多い企業では固定電話は必須であると言えます。
また、固定電話では外線通話と内線通話を使い分けることも可能です。外部からのお客様の問い合わせは外線で対応し、社内の連絡や会議用途などは内線通話を利用することができます。
さらに、部署ごとに電話番号を分けることもできます。例えば、営業部門やカスタマーサポートなど、異なる業務を担当する部署ごとに独自の電話番号を設定することで、問い合わせが的確に適切な担当者に届くようになります。
その他にも、固定電話では転送、保留、録音機能などが利用でき、これらの機能は仕事上で必要とされる場面で役立ち、業務効率を向上させる機能となります。
社会的信用が高くなる
固定電話番号は、事務所や事業所の活動拠点としての存在を示す重要な要素となります。顧客や取引先は、社会的信用度の高い企業であると感じるため、信頼関係も深まりやすくなります。
特に年齢層が高い方々においては、携帯電話番号では違和感を感じる場合がありますので、固定電話番号はその信頼感を高めることにつながるでしょう。
また、金融機関への融資や信用を必要とする場面において、固定電話の存在は信頼を得やすくなります。金融機関は企業への貸し付けや取引においてリスク評価を行いますが、固定電話の設置は信頼性を示す一つの指標となります。固定電話があることで、企業の安定性や長期的な経営計画に対する信頼感を高めることができます。
仕事とプライベートの線引きがしやすくなる
まず第一に、セキュリティ上のリスクを軽減する点が挙げられます。仕事上の機密情報や重要な取引内容などを扱う場合、携帯電話のような個人所有の電話に比べて固定電話は安全性が高いです。
オフィス内で利用される固定電話はセキュリティ対策が行われており、情報漏洩の可能性を低く抑えることができるのです。
次に、通信費として通話料金を経費計上することができる点もメリットです。固定電話は会社名義として契約されるため、通話料金は企業の経費として計上することができます。これにより、会社の経費管理や確定申告などの処理がスムーズに行えます。
携帯電話では個人の支払いであり、経費計上が難しい場合もあるため、仕事に関わる通信費を明確に管理することが可能です。
オフィスに固定電話を置くデメリット
ここからはオフィスに固定電話を置くデメリットを紹介していきます。
- 初期費用が高額
- テレワーク化が進まない
- 電話応対のための人件費がかかる
固定電話を設置している企業の方にとっては心当たりのある内容かもしれませんが、以下に詳しく説明していきます。
初期費用が高額
固定電話の設置には、主装置代や電話機本体代などの費用が発生するため、そのコストを考慮する必要があります。
まず、主装置代は約20万円から30万円といった高額な金額になります。この主装置は、オフィス内の通信回線を制御し、電話機能を提供する重要な部品です。高品質やセキュリティ対策を求める場合には、より高価な主装置が必要になることもあります。
また、電話機本体代も問題となります。オフィスの従業員数に応じて必要な電話機台数が増えるため、その分だけコストが増加します。特に大規模企業や複数の部署を持つ企業では、多くの電話機が必要となりますので、それだけ費用も膨らむことになります。
さらに、固定電話を設置するためには追加の工事費も発生する場合があります。通信事業者や工事業者によって異なりますが、配線工事や回線接続のための作業などが必要となることがあります。これらの工事費は、設置するオフィスの規模や難易度によって異なるため、事前にコストを見積もる必要があります。
テレワーク化が進まない
株式会社グラントンの調査によると、テレワークを実施する企業の経営者や従業員の26.8%が、「会社の固定電話の応対業務」に対してテレワーク化への課題を感じているという結果が出ています。このことからも、オフィスに固定電話を置くことがテレワーク化の障害となっていることが分かります。
固定電話対応のためには、従業員は緊急時でも出社する必要があります。例えば、重要な取引先からの重要な電話や、故障やトラブル発生時の対応など、即座に確認・対応が必要な場合、オフィスにいる必要があります。これはテレワークの目的である場所や時間に制約が生じるものであり、効率的な働き方を妨げる一因です。
また、固定電話は主にオフィス内で使用されるため、オフィスにいなければ応対できません。オフィス外では携帯電話やチャットツールを利用して、適切に連絡を取ることが求められますが、固定電話はそのような方法での応対が難しいです。このことからも、オフィスに固定電話を置くことでテレワーク化の制約が生じていると言えます。
電話応対のための人件費がかかる
オフィスに固定電話を置く場合、電話の取り次ぎや応対を担当するスタッフが必要です。電話応対は重要な業務であり、顧客からの問い合わせやクレームなどを適切に処理することが求められます。そのため、専任のスタッフを配置する必要があります。
また、固定電話を使ったやりとりは煩雑な場合があります。複数人が関与するやりとりでは、情報伝達にミスが生じる可能性もあるため注意が必要です。また、長時間の通話や保留中の待ち時間なども生産性を低下させる要因となりえます。
さらに、直接担当者に連絡しなければならない場合、固定電話では連絡先を特定することが難しい場合もあります。このような場合、作業の中断や迅速な対応の遅れが生じる可能性も考えられます。
オフィスに固定電話が必要な場面
実際にオフィスに固定電話が必要な場面として、以下の2点が挙げられます。
- 法人用口座の開設やクレジットカードの発行
- 融資の申し込み
法人用口座の開設やクレジットカードの発行
法人用口座を開設する際には、一部の銀行で固定電話番号が必須となるケースがあります。
また、法人用クレジットカードを作成する際にも固定電話の有無が審査項目となることがあります。クレジットカード発行会社は、申請者の信用性を評価するためにさまざまな情報を収集します。その中には、企業の連絡先情報も含まれます。固定電話番号がある場合、会社の存在や信頼性を裏付ける一つの要素として評価されます。
融資の申し込み
企業が融資を受ける際には、通常、自己資金や返済能力などの要素が評価されますが、さらに財務内容や今後の見込みなども把握されます。このような情報は、会社の信頼性や経営状態を評価する上で重要です。
固定電話番号の有無は会社の信頼性や安定性を示す一つの指標とされます。確実な連絡手段として、企業活動において固定電話は重要な存在です。そのため、融資を行う金融機関は、固定電話番号の有無も審査ポイントとして考慮する傾向にあります。
特に法人用固定電話番号を保持している場合は、融資審査の通過率が高まる可能性があります。金融機関は、法人用固定電話番号の有無を通じて企業活動の信頼性や財務状況を判断することができます。したがって、法人用固定電話番号がある場合、融資審査において有利になる可能性があるのです。
オフィスに固定電話を設置しない場合におすすめのサービス
固定電話を設置しない場合におすすめのサービスとして、以下の2点を紹介していきます。
- 外線電話に代わるサービス
- 受付の内線に代わるサービス
初期費用や導入の手間を抑えたい方におすすめのサービスです。
外線電話に代わるサービス
外線電話に代わるサービスとして紹介するのは以下の2点です。
- クラウドPBX
- 電話代行サービス
クラウドPBX
まずはクラウドPBXです。クラウドPBXは、社員のスマホやPCを活用して外線電話を担当者に直接繋ぐことができるサービスです。これにより、無駄な電話対応を減らすことができます。
従来の固定電話では、オフィス内でしか受けられなかった外線電話も、クラウドPBXでは社員のスマホやPCを通じて受けることができます。例えば外出先や自宅でも、専用アプリを介して外線電話が受けられるため、場所を問わず効率的な業務が可能です。
また、社員一人一台のスマホやPCに専用アプリをインストールするだけで利用できるため、導入コストも低く抑えられます。さらに、使用した通話料やサービス料も必要最小限に抑えられるため、コスト削減にもつながります。
電話代行サービス
次に紹介するのは電話代行サービスです。電話代行サービスは、外線電話の対応を外部に委託することで、オフィス内での電話対応自体をなくすことができるサービスです。
従来の固定電話では、オフィス内で常にスタッフが電話対応をしなければならず、そのために出社やシフト調整が必要でした。しかし、電話代行サービスを利用することで、外部の専門業者が電話の受付やメッセージの取り次ぎを行うため、社内の業務に集中することができます。
さらに、電話代行サービスでは通話内容の録音や受信メールへの転送など、様々なオプションも選択することができます。これにより、顧客とのコミュニケーション履歴を残すだけでなく、迅速かつ正確な情報共有も可能です。
受付の内線に代わるサービス
次に受付の内線に代わるサービスを紹介していきます。
- クラウド受付システム
クラウド受付システム
現代のビジネス環境では、クラウド受付システムが注目されています。このシステムは、タブレット端末を利用して受付業務を行うものです。
クラウド受付システムを導入することで、従来の内線を使った受付業務に代わる新しい方法が生まれます。従来の固定電話では、担当者が忙しい場合や不在の際には、電話取次ぎ業務が発生しました。
しかし、クラウド受付システムでは、訪問者はタブレット端末上で必要な情報を入力し、目的地や担当者を指定することができます。そのため、受付カウンターに常駐する人員が必要なくなります。
オフィスに固定電話が自社に必要がどうかを判断しよう
本記事では、オフィスに固定電話が必要かどうかや、固定電話のメリット・デメリット、そしてクラウドPBXについて解説しました。
結論として、オフィスに固定電話を設置するかどうかは、各企業の状況やニーズによりますが、クラウドPBXを活用することで固定電話のメリットを享受しつつ、柔軟性やコスト削減を実現できるということがわかりました。
各企業は自身のニーズやビジネス環境を考慮し、固定電話の必要性を判断することが重要です。クラウドPBXを活用することで、固定電話のメリットを享受しつつ、より柔軟な通信環境を構築できるかもしれません。ぜひ、自社の状況に合わせて最適な選択を検討してください。