オフィスのレイアウト変更で考えたい
応接室の配置と内部レイアウト
オフィスのレイアウトを変更するときは、使い勝手を重視することが大切です。
応接室の配置もその一つ。
どのようなレイアウトがよいのかは、応接室を使用する人数や目的によって異なってきます。
この記事では、来客を迎えるために大事な応接室のレイアウトについてお話します。
1. 応接室は会社の入り口付近に配置が基本
応接室のレイアウトを考えるときは、場所選びや雰囲気づくりに注意する必要があります。
応接室は、来客を迎えて商談やプレゼンテーション(以下、「商談」)を行う大切な場所です。
心地よい応接室にすることで、自社のイメージ向上にもつなげましょう。
レイアウト上で支障がない限り、応接室は会社の入り口付近に配置することが基本です。
そうすることで、社内のようすを来客に知られにくいメリットがあります。
ふだん自分たちが過ごす空間は慣れているため、多少乱雑でも苦にならないかもしれません。
しかし、来客にとっては些細なことでも気になるものです。
デスクの上が散乱していると、大事な書類を紛失しないか心配になります。
社内の日常が来客の目に留まると、自社の信用問題に関わることを知っておきましょう。
応接室と従業員のスペースが近いと、従業員同士の会話や電話内容が筒抜けになることも少なくありません。
特に、個人情報などを扱う部署は、来客の目に届かない場所に設置する必要性がでてきます。
応接室を入り口付近に配置することで、このような課題をカバーすることが可能です。
また、社内の機密情報を守るだけでなく、来客に安心感を与えるメリットにもつながります。
応接室の明るさにも注意が必要です。
大事な話をするためには、適度にリラックスできる空間を意識したいものです。
可能なら、景色のよい場所に大きめの窓を設置しましょう。
窓の位置は、太陽光が差し込みやすい方向を選ぶことも大事なポイントです。
そのような場所がないオフィスでは、照明やインテリアの工夫により、明るい応接室を演出するとよいでしょう。
たとえば、壁紙を選ぶときは白を基調にするだけでも明るい応接室になります。
2. 応接室内のレイアウトは動線を考えよう
応接室のレイアウトをするとき、受付から応接室までの動線を無視することができません。
可能な限り、従業員に気遣うことなく移動できる動線づくりが大切です。
たとえば、応接室の近くに収納スペースがあると、来客と従業員が顔を合わす可能性がでてきます。
ほかの部屋を通らないと応接室に行けないレイアウトや、その逆パターンもよくありません。
応接室のレイアウト時には、移動スペースに余裕を持たせたうえで、観葉植物や絵画などで演出することも考えましょう。
応接室テーブルや椅子を置くときは、デスクワークで使うものよりも大きめのサイズを選ぶことがポイントです。
また、来客は1~2人が一般的と考えられますが、3人以上になる場合も少なくありません。
そのようなときに慌てないためにも、予備の椅子を用意しておくと安心です。
また、それに見合った大きさのテーブルを選ぶとよいでしょう。
もちろん、テーブルや椅子を無理なく配置できるようにするためには、応接室のスペースを広く取る必要があります。
そのうえで、室内の移動もスムーズにできるように工夫することが大切です。
椅子の硬さ選びも大事なポイントになります。
商談中にストレスを感じないためには、座り心地のよさを意識しましょう。
柔らかすぎる椅子は体が沈みやすいため、体を支えるのが大変です。
一方、硬すぎる椅子は座り心地が悪いことから、こちらも商談向きではありません。
ビジネスシーンでは、些細なことにもこだわる必要があります。
スムーズな商談のためにも、適度な硬さの椅子を選びましょう。
3. 応接室にソファを置くときのポイント
応接室に応接セットを置くことも少なくありません。
また、来客への接待に応接セットがあるのは理想的といえるでしょう。
応接室は、会社を代表する大切な「顔」になります。
自社のイメージアップのためにも、ソファを置くときのポイントをしっかり押さえておきましょう。
応接セットは、ローテーブルとソファとからなっています。
オフィス用応接セットにもいろいろなタイプがあるため、迷うことも少なくありません。
テーブルとソファの組み合わせが大事なことはもちろんですが、なかでも重視すべき点はソファ選びです。
ソファを選ぶときは「1人掛け用:2つ」と「2人掛け用:1つ」を基本にするとよいでしょう。
ソファ選びに際しては、椅子選びと同じく「座り心地」を重視する必要があります。
長時間座っていても体の負担にならないソファが理想的です。
家庭でくつろぐソファは柔らかいほうが居心地がよいですが、適度な緊張感が求められるビジネスシーンでは却ってマイナスになります。
商談のときによい姿勢を保てるようにするためにも、適度な硬さがあるソファを選ぶように心掛けましょう。
ソファの素材選びも大きな課題になります。
ビニールレザーやポリウレタンなどのソファはコスト軽減にもつながりますが、劣化が起こりやすく長期使用には向いていません。
また、安い素材のソファを置いていると来客に見破られてしまい、自社のイメージダウンにもつながります。
やはり、応接セットを選ぶときは、来客に最大限の敬意を払う必要があります。
このような理由からも、応接室のソファは本革にこだわりましょう。
なお、応接室にテーブルと椅子を置く場合にも通じる話で、素材選びが大事なのはいうまでもありません。
4. 家具の配置は席次やマナーを押さえて
応接室では家具の配置に注意する必要があります。
ソファを置くときは、2人掛け用をドアから遠い場所に置き、1人掛け用はその反対側に置きましょう。
また、応接室のレイアウトを考えるときは、そういった配置が可能なように意識することが大切です。
そのうえで、来客を2人掛け用ソファに案内することが大事なポイントになります。
来客をドアから遠い場所に案内する背景には「上座」「下座」という考え方があります。
特に、日本人は自分の位置に敏感に反応する傾向がみられます。
相手を敬うためにも、上座や下座についてしっかりと把握することが大切です。
ちなみに、上座は来客が座る場所、一方、下座は接待する側が座る場所と捉えておくとよいでしょう。
また、2人掛け用ソファのうちドアから一番遠い席が上座になります。
ただし、絵画や掛軸などが掛かっている応接室や、景観のよい窓がある場合は、それらを見やすい場所が上座という考え方になっています。
もし、案内する場所を間違えると相手に失礼になるほか、商談への影響も避けられなくなります。
また、来客は接待する側に促されるまでは着席することができません。
そのため、来客を席に案内するときは、基本的なマナーを知ったうえで十分な配慮を心掛けましょう。
5. 会社の個性を活かして心地よい空間を演出
会社の応接室は、来客との商談を行う大切な場所です。
また、会社の入り口から応接室への動線も含めて、自社をアピールできる機会になることを知っておきましょう。
そのためには、会社で取り扱う商品がわかるようなレイアウトを考えるのも一案です。
歴代の商品や話題の商品をピックアップして陳列することで、話題づくりに役立つこともあるでしょう。
応接室のレイアウトに関しては決まったルールは存在しません。
もちろん、応接室を会社の入り口付近に配置する、来客を上座に案内するといった、基本を押さえることは大切です。
それらを踏まえたうえで、会社の独自性をアピールしましょう。
応接室のレイアウトに際しては、来客にとっても過ごしやすいことも大事なポイントになります。
会社の個性を活かしながら、来客に心地よい時間と空間を提供できるように工夫を凝らしてはいかがでしょうか。