座る場所は自由!
フリーアドレスオフィスを成功させるポイントは?
フリーアドレスオフィスとは、固定された席を作らず、それぞれの社員が好きな席で仕事ができるしくみのことです。
働き方改革の一環として、フリーアドレスオフィスを導入する企業も増えています。
しかし、フリーアドレスオフィスを導入した全ての企業が、職場環境の改善に成功しているわけではありません。
フリーアドレス化を目指したものの、失敗してしまった企業もあります。
ここではフリーアドレスオフィスのメリットやデメリット、成功させるためのポイントなどを紹介します。
1. フリーアドレスオフィスのメリット・デメリット
フリーアドレスオフィスは、上手に活用すれば生産性の向上やコミュニケーションの活性化などの効果が期待できます。
フリーアドレスオフィスを導入するのであれば、まずはメリットとデメリットを把握しておきましょう。
1-1. フリーアドレスオフィスのメリット
フリーアドレスオフィスは、IT企業やベンチャー企業で導入することが多いことから、おしゃれな印象を持たれやすいシステムです。
しかも、フリーアドレスオフィスはスタイリッシュなだけではなく、実用面も優れています。
フリーアドレスオフィスを取り入れることで、あらゆるメリットが期待できるのです。
1-1-1. 省スペースのオフィスでも対応できる
フリーアドレスオフィスの大きなメリットは、省スペースと省コストが同時に実現できる点です。
レイアウトによっては、座席数を40~50%ほどカットすることも可能です。
例えば、外回りの営業などが主な業務で、日中は人が少ないというオフィスなら、人数分の座席を用意する必要はありません。
ミーティングの際も自由な席を使えるので、会議室の数を減らせます。
カットした分だけ新しい座席数を増やしたり、小さなオフィスに移転したりすれば、賃料をはじめとしたコストの節約につながるでしょう。
また、同じプロジェクトや案件を進めているチームの席が近ければ、パソコンの画面を見せながら説明ができます。
迅速な意思決定ができるうえ、紙の資料を作る必要がなくなるので、さらなる業務の効率化とコスト削減が可能です。
1-1-2. 社員同士のコミュニケーションをとる機会が増える
フリーアドレスオフィスは、部署や役職に関わらず、毎回使う座席が変わるシステムです。
各々が携わっている業務やプロジェクトに応じて、近い座席に座ることを決められます。
そのため、部署が違う社員同士でもコミュニケーションをとる機会が増えるでしょう。
複数の部門を横断するプロジェクトやチームの編成もしやすいです。
また、同じ部署内でも、グループワークに取り組みやすくなります。
もちろん、同僚だけではなく上司とのコミュニケーションも活発になるので、より風通しの良い環境作りが可能です。
1-1-3. 机を整頓するようになる
フリーアドレスオフィスでは固定席が存在しないため、個人の私物を置ける場所は限られます。
業務が終わったら、私物や資料は個人用ロッカーなどに一旦片付けなければいけません。
机の上や引き出しの中に私物を置いたままにできないので、社員のひとりひとりが常に整理整頓を心がけるようになるのです。
机の周辺に資料を出しっぱなしにできないので、不要な資料を処分するきっかけになります。
共有する書類はファイリングするなど、収納を徹底することも重要です。
さらに、書類を処分したり収納したりする手間がかからないよう資料をデータ化するなど、ペーパーレス化の推進にもつながります。
情報をネットワーク上で共有するようになれば、コピーや印刷にかかるコストも削減されるでしょう。
1-1-4. セキュリティ面の向上につながる
使う席が固定されていると、気のゆるみから重要な資料を机の上に置いたままにしてしまうことがあります。
すると、資料を盗み見されたり、機密情報が社外に流出してしまったりするおそれがあるのです。
しかし、フリーアドレス化すると、使った資料を毎回しまったり、整頓したりする習慣が身につきます。
情報漏えいに対する警戒心も強まるでしょう。
さらに、フリーアドレスオフィスを導入することによりペーパーレス化が進めば、紙媒体の資料そのものが少なくなります。
情報の重要度に応じてアクセス権を設定するなど、セキュリティ対策を行えば、情報漏えいのリスクはより抑えられるでしょう。
1-1-5. レイアウト変更をしやすい
フリーアドレスオフィスなら、レイアウトを変更する際も容易に移動ができます。
たとえば、社員の人数が変化したり、部署を移動することになったりしても、荷物を移動させる必要がありません。
所属する部署に関係なく自由に席を使えるので、電話回線や電源の確保、レイアウトの変更などのコストを抑えられます。
また、オープンスペースにすれば、同じ床面積でも開放的なレイアウトを実現できるでしょう。
広々とスペースを使えるので自然と活動量が増え、健康的に働ける職場環境が生まれます。
仕切りや壁に囲まれたオフィスより明るい印象になるのもポイントです。
1-2. フリーアドレスオフィスのデメリット
フリーアドレスオフィスはメリットが多い一方で、デメリットも存在します。
デメリットを知らないままフリーアドレス化を進めてしまうと、かえって働きづらい環境になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
フリーアドレスオフィスを導入する前に、具体的なデメリットの内容について知っておきましょう。
1-2-1. 初期費用がかかる
フリーアドレスオフィスは、始めたいと思ったときにすぐに実行できるとは限りません。
必要な道具や設備を購入し、ある程度の準備をしておく必要があります。
たとえば、席を移動しても業務ができるよう、ノートパソコンなどの持ち歩ける端末が必要です。
電話で問い合わせがあった際や来客の際にすぐ取り次げるよう、携帯電話も必要になるでしょう。
さらに、フリーアドレスオフィスでは机の上や引き出しの中に私物を置くことはできません。
そのため、私物を管理するためのロッカーなども取りつけておかないと不便です。
このように、フリーアドレスオフィスを導入するには初期費用がかかります。
1-2-2. 外線や来客の取り次ぎが難しい
フリーアドレスオフィスでは毎回座席が変わるため、どの席に誰が座っているのかがわかりにくいです。
そのため、来客や外線を取り次ぐ際に、なかなか担当者が見つからず困ってしまうケースがあります。
フリーアドレスオフィスを導入するのであれば、このような問題を解決するための具体的な対策も考えておかなければいけません。
たとえば、社員同士で共有できるフォルダやクラウドを導入したり、チャットツールで連絡を取り合ったりするのも1つの方法です。
社内の情報システムやネットワークを見直すことで、業務の効率化やセキュリティの向上にもつながるでしょう。
1-2-3. 従業員の勤怠管理が難しい
人数が多いオフィスでフリーアドレス化を実践する場合、部下の座席がわからず勤怠管理が難しくなってしまうおそれがあります。
特に、固定席に慣れてしまっている人の場合、業務を効率化するどころか、かえって業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。
そのため、フリーアドレスオフィスを導入している会社では、仕事内容や勤務時間を申告するシステムを構築するなどの方法で管理を行うことが多いです。
新しいシステムを取り入れることで社員のストレスが増えたり、働きにくさを感じたりすることがないよう、事前に勤怠管理のしくみを見直しておきましょう。
2. フリーアドレスオフィスの問題点
フリーアドレスオフィスにはいくつかの課題や問題点もあります。
フリーアドレス化のメリットを十分に生かすためにも、フリーアドレスオフィスの問題点を把握すると同時に、それを解決するための対策も考えましょう。
2-1. 座席が同じ人で固定される
フリーアドレス化に失敗したオフィスによく見られるのが、毎回同じ人が同じ席を使ってしまうケースです。
座る場所を自由に選べるにも関わらず、いつのまにか固定席になってしまい、共有席の私物化が許されてしまいます。
一旦机に私物を置いてしまうと、座席を移動するのは難しくなってしまうでしょう。
すると、フリーアドレスオフィスのメリットが得られなくなり、最終的にはこれまでの硬直化した職場環境に逆戻りしてしまいます。
また、最初のうちは自由に座席を選んでいたものの、次第に座席が固定化されてしまうのもよくあるパターンです。
2-2. コミュニケーションが苦手な人にとって居心地が悪い
同じ会社に勤めている社員全員が、フリーアドレスオフィスを歓迎するとは限りません。
コミュニケーションが苦手な人の場合、フリーアドレス化することでストレスが増える可能性があります。
フリーアドレスオフィスでは所属する部署や立場に関係なく隣り合って座ることになるため、社員同士でコミュニケーションをとる機会が増えます。
社内で孤立することが少なくなるため、一見すると自分からコミュニケーションをとれない人にも良い環境に思えるでしょう。
しかし、コミュニケーションが苦手な人は、同僚や上司との接触を避けたいがために、自分から進んで孤立してしまう可能性があるのです。
2-3. 上司と部下との距離感が難しい
座席が固定されているオフィスでは上司は上座、部下は下座に配置されるのは一般的です。
しかし、フリーアドレスオフィスでは役職に関係なく、全ての社員が自由に席を選べるため、上司と部下の距離感が保ちにくいという問題があります。
席を決める際、お互いに気を遣ってしまうこともあるでしょう。
気まずくならない距離感を模索した結果、定位置を設けるようになってしまうと、座席の固定化にもつながりかねません。
全ての社員が快適にオフィスを使えるようにするためには、座席を選ぶ際のルールを設けたり、レイアウトを工夫したりなどの対策が必要です。
2-4. 書類を収納するスペースが少ない
フリーアドレスオフィスでは固定席がないため、机の上や引き出しの中に書類を保管できません。
そのため、デスク以外に書類を収納できるスペースを確保する必要があります。
万が一、個人用のロッカーが小さかったり、共有ロッカーが使えなかったりすると、しまいきれなかった私物や書類を常に持ち歩くことになってしまいます。
荷物が多くなることにより社員の負担も増え、生産性や能率も低下してしまうでしょう。
また、資料を無闇に携帯すると、情報漏えいにつながる可能性もあり、非常に危険です。
セキュリティを確保するためにも、書類や持ち物を保管するのに十分な収納スペースを確保しましょう。
3. フリーアドレスオフィスを成功させるためのポイント
フリーアドレス化を成功させるためには、導入する前にしっかりとルール作りや準備をしておかなければいけません。
既にフリーアドレスオフィスを取り入れている場合も一旦ルールを見直し、さらなる効率化を目指しましょう。
3-1. 座席が固定されないように工夫をする
フリーアドレス化を進める際の課題として、どのようにして座席の固定化を防ぐかが挙げられます。
毎日同じ人が同じ席に座ることがないよう、座席が流動的になるためのルール作りが必要です。
たとえば、座席が固定されてきたら、自動的に座席を決めるシステムを導入したり、くじ引きで座席を決めたりするのも良いでしょう。
いきなり社内の座席を全てフリーアドレス化するのではなく、部署や職種によって座るエリアを分けるなど、少しずつフリーアドレスオフィスを浸透させていくのも1つの方法です。
ある程度座れるスペースを限定するルールを作れば、部下や上司がお互いに気を遣ってしまう問題も解決できます。
3-2. フリーアドレス以外の席も用意しておく
オフィスをフリーアドレス化すると、社員の性格や職種によっては生産性を低下させてしまうおそれがあります。
特に、研究職やクリエイターのように、1つの席で長時間仕事をする職種にとって、フリーアドレスオフィスは仕事の効率を下げる原因になりかねません。
部署に関係なく共有できるスペースだけではなく、仕事に集中したい人や重要な業務にあたっている人のためのスペースを作るのが、フリーアドレス化を成功させるためのポイントです。
たとえば、カウンタータイプの座席を窓に向かって設置したり、座席の三方に仕切りを立てた半個室タイプの座席を作ったりすれば、業務に集中しやすいでしょう。
3-3. 収納スペースの工夫をする
フリーアドレスオフィスで問題になりやすいのが、収納スペースが限られているという点です。
基本的に座席には書類や私物を置けないので、個人用のロッカーや社内で共有できるロッカーが必要になります。
また、資料や備品を持ち運びやすくするために、可動式のワゴンを設置しておくと便利でしょう。
個人用のロッカーは貴重品やパソコンを保管できるよう、鍵付きのものが望ましいです。
最低でもノートパソコンや書類一式を収納できる大きさのロッカーを用意しましょう。
共用のロッカーには、カタログやマニュアルなど社内で共有する資料を収納します。
4. フリーアドレスオフィスに向いている企業
フリーアドレスオフィスは社員の働き方や職種によって、向いている企業と不向きな企業があります。
フリーアドレス化を進める前に、まずは自社でフリーアドレスオフィスを導入できるかを慎重に検討しましょう。
4-1. 在席率が低い
営業などで社員が外出していることが多いオフィスでは、空席のまま放置される席も多くなります。
フリーアドレスオフィスを導入すれば、使われない座席を縮小し、別の空間として生かすことも可能です。
または、小さなオフィスに移転すれば賃料を節約できます。
目安として在席数が社員全体の人数の40%未満程度であれば、フリーアドレス化を検討するべきでしょう。
ただし、人によっては在席している時間が短くても、オフィスにいる間は集中して業務に取りくみたいという場合もあります。
そのような人がオフィスで快適に過ごせるよう、パーテーションや仕切りを使って集中できるスペースを作るなどの工夫をしましょう。
4-2. 十分な通信・共用環境が整っている
フリーアドレスオフィスを実現するには、オフィスのどこにいても業務ができるよう通信環境を整備しなければいけません。
また、ネットワークを介して情報を共有できるシステムも不可欠です。
そのためには、ノートパソコンや携帯電話などの端末を用意するとともに、共有フォルダを作成したり、通信環境を見直したりする必要が生じます。
ただし、1から環境を作ろうとすると、初期費用がかかってしまうでしょう。
最初から通信環境が整っている企業なら、フリーアドレスオフィスをすぐに導入できます。
4-3. 自由な働き方ができる
フレックスタイム制を導入している企業や、現場への直行直帰ができるなど融通が利く勤務体系をとっている企業も、フリーアドレスオフィスに向いています。
そのような企業は元々勤怠管理のシステムが確立されており、勤怠の把握がしにくいというフリーアドレスオフィスに多い課題を既にクリアできているのです。
将来的にフレックスタイム制などの勤務体系を導入したいと考えているのであれば、フリーアドレス化を進めながら勤怠管理の方法を見直すのも良いでしょう。
また、電話や来客をスムーズに取り次げるようなシステム作りも必要です。
4-4. 社員の働き方に対する改善意識が高い
働き方改革に対する意識が高い社員が多く、積極的に職場環境の改善に取り組んでいる会社も、フリーアドレスオフィスに向いているでしょう。
フリーアドレスオフィスを導入するには、ネットワーク上で資料やデータを共有したり、連絡をとったりするシステムが必要です。
そのため、フリーアドレス化を進めるうちに、オフィスの中だけではなく、自宅など社外で仕事ができる環境が整うケースがあります。
さらに、勤怠管理のシステムやセキュリティの見直しにもつながるため、今後の働き方を考えるにあたり、メリットにつながる可能性が高いのです。
5. フリーアドレスオフィスに向いていないケース
フリーアドレスオフィスに向いている企業もあれば、向いていない企業もあります。
万が一、向いていない企業の条件に当てはまる場合は、フリーアドレスオフィスとは違った方法で職場環境の改善を図ったほうが無難です。
5-1. 在席率が高い
まず、在席率が高いオフィスでは、フリーアドレスオフィスのメリットである、オフィススペースの削減ができません。
特に、経理や法部のようなバックオフィスは、落ち着いた環境で作業をする必要があります。
フリーアドレス化を進めることで、かえって集中力や生産性が下がるおそれもあるでしょう。
また、自分のデスクがある環境に慣れている人は、フリーアドレスオフィスを取り入れることで、自分の居場所が無くなったように感じることがあります。
しくみを大きく変えることが、ストレスにつながる場合もあるでしょう。
特に、社員の平均年齢が高い企業でフリーアドレスオフィスを導入する場合は、慎重に計画を立てなければいけません。
5-2. 座席の移動ができない
総務職や事務職にように電話対応が多い部署は、自由に席を移動できないので、フリーアドレスオフィスに向いていません。
また、デスクトップパソコンなど動かせない設備、必要な部署やクリエイターが多い企業も在席率が高いため、フリーアドレスオフィスのメリットを十分に生かせないでしょう。
フリーアドレスオフィスを実践する場合は、全ての部署をフリーアドレス化するのではなく、業務の内容や部署に合わせて部分的に導入するのも1つの方法です。
また、各部署にアンケートをとったり意見を聞いたりすることも、フリーアドレス化が適切かを見極める大事な判断材料になります。
5-3. 取り扱うデータの機密性が高く容量が大きい
フリーアドレスオフィスを導入すると、退社時に使っていたパソコンや資料を片付けてから帰る必要があります。
紙の資料を多く取り扱う部署では、共有ロッカーから資料を出し入れする際に、無駄な手間がかかってしまいます。
資料をデータ化しても、容量が大きかったり、個人情報などの機密性が高い情報だったりすると、オフィスの外には持ち出せません。
さらに、社員ひとりひとりがセキュリティ面の管理をする必要があるため、フリーアドレスオフィスの実現は難しいでしょう。
情報漏えいなどのトラブルを防ぐためにも、機密性の高い情報や容量の大きいデータを扱う部署は、席を固定したほうが無難です。
5-4. 社員のタイムスケジュールが同じ
企業によっては部署に関係なく出退勤の時刻が同じだったり、在席時間で仕事を管理するシステムをとっていたりする場合があります。
社員のタイムスケジュールがほとんど変わらない企業は、在席率が高く、フリーアドレスオフィスにするメリットは少ないです。
オフィスの環境を変えるには、多大な労力とコストが必要になります。
せっかく社員の協力を得て環境を変えたにも関わらず、働き方が改善するどころか悪化してしまったら、社員のモチベーションを著しく下げてしまうでしょう。
フリーアドレスオフィスを導入する際は、経営陣や管理職の独断で進めるのではなく、まずは社員に「働き方を変えたい」という意志があるのかを確認しましょう。
6. フリーアドレスオフィスを導入している企業の事例
全国的に有名な企業でも、フリーアドレスオフィスを導入し、働き方の改善に成功しているケースがあります。
これからフリーアドレスオフィスを取り入れたいと考えている人のために、有名企業の成功事例を紹介します。
6-1. キューピー株式会社
キューピー株式会社といえば、マヨネーズやドレッシングなどの調味料でよく知られる企業です。
キューピー株式会社はフリーアドレスを取り入れることで、オフィス改革に成功しました。
たとえば、共有フロアは目的に合わせて働く場所を選べる共有スペースとして設計されています。
ミーティングスペースにはモニター付きのブースや4人掛けのテーブルを設けました。
ミーティングルームは半個室になっており、機密性の高い情報について話し合う際に便利です。
窓際に配置した「集中スペース」や、社員が自由に使える「誰でもデスク」といった、ユニークな工夫も凝らされています。
キューピー株式会社では、フリーアドレスオフィスを導入してから、食品開発チームと加工食品チームの連携が取りやすくなりました。
その結果、新商品の開発期間が約6カ月も短くなるという成果を出したのです。
6-2. カルビー株式会社
カルビー株式会社は、ポテトチップスをはじめとしたお菓子が有名な会社です。
カルビー株式会社では、出社するとソロ席と集中席、コミュニケーション席という3種類の座席から、希望する席を選択します。
コンピューターがそれぞれの種類から、ランダムに座席を割り振ることで、座席の固定化を防止できるシステムになっているのです。
座る場所はランダムに決まりますが、座席の種類は任意で選べるので、最適な環境で他部署とのコミュニケーションがとれます。
フリーアドレスオフィスの導入は働き方改革にもつながっており、職場環境の改善に成功した企業の1つです。
6-3. ハウス食品株式会社
カレーやスパイスなどの食品で知られるハウス食品株式会社は、固定席に縛られず、「適業適所」という考え方を重んじています。
打ち合わせコーナーや立ち会議コーナー、集中コーナーなど、やりたい仕事にふさわしい空間を利用できるシステムになっているのです。
さらに、将来的なフリーアドレス化を視野に入れ、大型ロングデスクを採用しています。
可動式のワゴンなどは使わず、書類は個人ロッカーに収納する決まりです。
フリーアドレスオフィスを導入してから、ハウス食品株式会社は7割の文書削減に成功し、ペーパーレスな働き方を実現しました。
7. フリーアドレスオフィスは向いているかどうかの見極めが大切
フリーアドレスオフィスは、自由な雰囲気とおしゃれな見た目から人気のあるレイアウトです。
ただし、社員の働き方や業務の内容によって、向き・不向きがあることを忘れてはいけません。
フリーアドレスオフィスに適している企業なら、大きなメリットを得られるでしょう。
しかし、向いていない企業が無理にフリーアドレスオフィスを導入すると、失敗する可能性が高いです。
自社にフリーアドレスオフィスを取り入れる際は、ここで紹介したポイントを参考に、フリーアドレス化を進めるべきかを見極めましょう。