事務所移転はやることがいっぱい!
どのタイミングで何をすればいいの?
事業規模の拡大や経営環境の変化によって、事務所移転を余儀なくされるケースがあります。
オフィスを移転するのはそれなりに手間がかかりますが、事務所のレイアウトを変更して作業効率をアップさせるチャンスです。
必要があれば積極的に行うとよいでしょう。
しかし、事務所の移転にあたっては業務に支障のないように行わなければならず、そのためにはきちんとした準備が大切です。
そこで、この記事では事務所移転にあたってやらなければいけないことについて紹介します。
1.事務所移転のスケジュールを立てよう
事務所移転が正式に決定したら、まずはスケジュールを立てることが大切です。
しっかりしたスケジュールを立てることで移転作業を可視化できるため、業務内容との調整を行いやすくなります。
各部署への通達もしやすくなるので、従業員同士のコミュニケーションを行いやすく、移転作業がスムーズに進むでしょう。
注意する点としては、スケジュールの立て方は事務所の規模によって若干異なるということです。
一般的には事務所の規模が大きければ大きいほど従業員の数は多く、引っ越しに時間がかかるのでスケジュールを立てる期間も長くなります。
また、スケジュールの書き方については、誰が見ても一目でわかるような方法が望ましいです。
「予算調整」「物件情報の収集」といった細かい項目ごとに分けて必要な期間を算出し、それぞれを並列して表記します。
すると、どの時期に何をすればよいかが一目でわかるようでしょう。
さらに、事務所の解約予告時期は一般住宅と異なるケースが多い点にも気をつけたほうがよいです。
一般住宅の賃貸借契約の解約予告時期は、退去の1カ月前とするケースが多いですが、事務所契約の場合は6カ月前となっていることがよくあります。
当然のことながら、新事務所の選定はそれまでに行わなければいけません。
そのほかにも、移転するために必要な作業には「役所への届け出」「新事務所の改装にかかる期間」「旧事務所の原状回復工事」といったものもあります。
作業工程がひとつでも抜けてしまうとスムーズな移転は難しくなるので、慎重に作成するようにしましょう。
2.転居先物件を選定する際に注意が必要なこと
移転先の物件を選定するときに、まず注意すべきなのは事務所の床面積の表記です。
賃貸オフィス物件の床面積の表記には「ネット面積」と「グロス面積」の2つがあります。
ネット面積は「実質」という意味を持つ言葉で、実際に事務所として使える面積を表しています。
それに対して、グロスは「全体」という意味合いを持つ言葉で、共用部分などを含めた床面積の表記方法です。
つまり、グロスの床面積にはトイレや廊下、給湯室などが含まれています。
トイレや給湯室などは必要な施設の一部ではありますが、純粋にオフィスとして利用できるスペースではありません。
たとえば、従業員50人の会社で業務に必要な面積を1人当たり2坪と考えている場合にグロス面積で100坪の事務所へ引っ越すと、思っていたよりも窮屈だと感じる可能性があります。
快適に仕事をするためにも、転居先物件の床面積の表記は気をつけましょう。
3.事務所移転にかかる費用を算定しよう
事務所移転には、コストがかかります。賃貸オフィスを契約するときは、一般住宅と比べて保証金や権利金が高額になるケースが多い傾向です。
そのため、事前にいくらぐらいかかるのかをしっかりとシミュレーションしておきましょう。
まず、新事務所へ移転するための費用について必要なのは、毎月支払う事務所の賃貸料が挙げられます。
しかし、賃貸料以外にも新事務所の内装工事費や引っ越し費用がかかるでしょう。
営業車が必要な業種であれば、駐車場の賃料を支払う必要があるのかも考慮しなければいけません。
また、旧事務所においては借りる前の状態に戻すための原状回復工事を行う費用を負担する必要があります。
不要な設備や備品があるときは、処分するためのコストについても検討しておかなければいけません。
さらに、忘れてはいけないのが事務所の移転を顧客に知らせるための広告費です。
事務所の移転を知らせるための文書や郵送費用などもコストとしてかかります。
名刺や住所が印刷済みの封筒なども変更しなければいけないので、細々したものを合計していくと、それなりの金額になるでしょう。
業務内容によっては登記内容の変更をする必要もあり、届け出には費用がかかります。
できるだけ、早い段階でコストがどれぐらいかかるかを算出しておき、資金を用意しておくべきです。
4.事務所移転の際にどんな届出が必要?
事務所移転をするときは、行政機関への届け出が必要です。
まず、法務局へ提出する書類としては、「本店(支店)移転登記申請書」を旧事務所のある所轄登記所へ移転日から2週間以内(支店の場合は3週間以内)に提出しなければいけません。
次に、税務署へは「事業年度、納税地、その他の変更異動届出書」「給与支払い事業所などを開設・移転・廃止届出書」の2つを届け出ます。
提出窓口については、どちらも基本的に移転前の所轄税務署です。
ただし、提出時期については前者が「遅滞なく」となっているのに対して、後者は「移転日から1カ月以内」となっているので、注意しましょう。
そのほかにも、社会保険事務所や都道府県税事務所、公共職業安定所などに届け出が必要です。
行政機関への届け出はかなりたくさんの種類があり、見落としてしまうと事業が始められない可能性もあります。
事前によく調べたうえで届け出をしましょう。
また、スムーズな移転を行うためには、NTTなどへの電話回線やインターネット接続事業者への手続きも大切です。
自分の部署では普段利用していなくても、他の部署では必要な手続きがあるかもしれません。
手続き先の一覧を示して各部署の責任者へ確認してもらうとよいです。
5.役割分担をして段取りよく移転しよう
事務所移転は会社の規模にもよりますが、一般的には半年から1年以上はかけて進めていくプロジェクトです。
会社全体にかかわる問題ですので、しっかりとコミュニケーションをとりながら役割分担をして効率よく進めていくことが重要だといえます。
まずは、スケジュールを立てて、それぞれの役割と期限を可視化して同時進行で準備を進めましょう。
いつまでに手続きが必要で、工事にどれぐらいの期間が必要かなどを意識したスケジュールを作り、やることのチェックリストを作っておけば担当者のケアレスミスも防げるはずです。
スムーズな事務所移転を行って、効率の良い職場を作ってみてはいかがでしょうか。