レンタルオフィスの選び方
事前に知っておきたい9つのポイントと利用のメリット
「オフィスを借りる」と聞くと、初期費用がかさむことや、契約期間が長いことが多く、中小企業や個人事業主にはハードルが高いものです。
そこで注目したいのが、レンタルオフィスです。数あるレンタルオフィスの中から、自社に最適なオフィスを選ぶにはどうすればよいのでしょうか。
この記事では、レンタルオフィスの選び方について9つのポイントを解説します。また、オフィスをレンタルすることで得られる4つのメリットについても紹介するので、今後オフィス選びを考えている方は必見です。
レンタルオフィスとは
レンタルオフィスでは、完全個室の執務室、インターネット回線、会議室など、必要な設備が揃っています。また、安心して働けるよう常時セキュリティが配慮された環境が提供されている場合もあり、これらのサービスを利用することで、初期費用や設備調達の面での負担を軽減することができます。
一方で賃貸オフィスはビルオーナーとの個別の賃貸借契約により単独でスペースを契約して利用する形態です。この場合、自分たちだけでインフラ整備や設備調達をしなければならず、それに伴う初期投資やランニングコストがかかるというデメリットがあります。また、契約期間が長くなることが多いため、ビジネスの変化に対応することも難しくなります。
レンタルオフィスは必要に応じて短期利用や定期的な都度払いでの使用が可能です。また、設備やサービスは必要最低限のものから充実したものまで幅広く提供されており、必要な部分だけを選び自由に利用することができます。
さらに、レンタルオフィスを利用することでビルの利用者同士の交流を深めることもでき、新しいビジネスチャンスを見つけるきっかけとなることもあります。
レンタルオフィスを利用する4つのメリット
レンタルオフィスを活用することにより、いくつかのビジネスメリットが得られます。以下では、4つの主要なメリットについて掘り下げて説明します。
- 初期費用を節約できる
- 低コストで一等地を拠点にできる
- 個人事業主でも事務所を構えられる
- 移転が簡単にできる
1. 初期費用を節約できる
通常の賃貸オフィスを借りる場合は、敷金・礼金や仲介手数料が発生することが一般的です。また、内装工事やオフィス家具、OA機器などを新たに揃える必要があるため、初期費用が大幅にかさむことがあります。
レンタルオフィスはオフィス家具やITインフラなどが整った状態で提供されている場合が多く、これらの初期投資額が抑えられます。
2. 低コストで一等地を拠点にできる
レンタルオフィスは都心部や駅の近くなど、アクセスの便が良い場所に位置していることが多いため、一等地にオフィスを構えることが可能です。
一等地にオフィスを構えることで、ビジネス上の信頼性やイメージアップなどの効果を期待できます。また、従業員の通勤時間も短くなり、生産性の向上やストレス軽減にもつながります。
さらに、レンタルオフィスではオフィス機器や環境をシェアすることで、イニシャルコストやランニングコストを抑えることが可能です。
例えば、複合機やオフィス家具、インターネット環境やエアコン設備までもがシェアされているため、自社所有する必要がなく、メンテナンス費用や管理費も抑えられます。
3. 個人事業主でも事務所を構えられる
レンタルオフィスは個人事業主でも簡単に事務所を構えることができます。自宅よりも労働環境が整っており、集中力が持続するため仕事の生産性も向上します。
また、レンタルオフィスでは受付や秘書サービスなどを提供している場合もあり、業務面でもサポートされることも魅力的です。
自宅では集中できない場合や情報漏洩の懸念がある場合には特に有用であり、フリーランスでも仕事をする上で必要な労働環境を整えることができます。
4. 移転が簡単にできる
レンタルオフィスを利用すると、移転時の手続きが簡単になります。
事務所内に備えられている設備や備品をそのまま利用することができるため、撤収や設置作業の手間が不要です。
また、インターネット回線などの環境も整備されているため、回線の引っ越し手続きや設定作業も簡単です。
さらに、同じフロア内で柔軟なオフィススペースの変更が容易である点もレンタルオフィスを選ぶ理由の一つです。例えば、事業規模が変化した場合や社員数が増加した場合にもより広いスペースを確保することが可能です。
レンタルオフィスを選ぶ際にチェックしたいポイント
レンタルオフィスを選ぶ際にチェックしたいポイントについて説明していきます。
- オフィスのタイプ
- オプションの料金
- 契約期間
- 会議室など共有設備の有無
- 空調設備や間仕切りのタイプ
- セキュリティレベル
- 有人受付の有無
- 立地や治安
- 駐車場の有無
レンタルオフィスを選ぶ際には、細かいポイントをチェックすることが大切です。オフィスのタイプによっても違いがありますので、しっかりと把握しておきましょう。
1. オフィスのタイプ
レンタルオフィスを選ぶ際には、まずオフィスのタイプを確認することが大切です。レンタルオフィスには、シェアオフィスやバーチャルオフィスなど、様々な種類が存在します。それぞれの特徴を理解し、自社のニーズに合ったタイプを選ぶことが成功への近道となります。
シェアオフィスは、複数のビジネスが同じ空間を共有する形式です。一人で事業を行う個人事業主や起業家にとって、比較的低価格で利用可能な点が大きな魅力です。
また、多様な個性ある起業家と出会えるチャンスもあります。しかし一方で共有スペースの使用頻度が高いため、予約不可の場合は重要なビジネスチャンスを逃してしまう危険性もあります。
バーチャルオフィスは、実際にオフィス空間を使わずに郵便物受け取りや電話対応等、必要最低限のサービスだけを利用する形式です。
自社でビジネス活動の拠点を持てない個人事業者や海外企業にとって、低コストでビジネス活動を行える点がメリットです。しかし、オフィススペース自体にアクセスできないため、ビジネス相手からの信頼性に影響を与える可能性があることも忘れてはいけません。
また、複数のタイプが組み合わさっている場合もあります。しかしそうしたタイプは通常シェアオフィスが併設されており、利用料金が高くなる傾向があります。費用面の問題も考慮して、自社のニーズに最も適したオフィスタイプを見極めることが重要です。
2. オプションの料金
一般的に考えられるオプションには、荷物受け取りサービスや駐車場利用、会議室利用、コピー料金、電話代行サービスなどがあります。これらのサービスはたいてい個別に利用しなければならず、そのため追加料金が発生する場合もあります。
一方で、頻繁にこのようなオプションを利用することが予想される場合は、必要なサービスが含まれたプランを探すことで長期的な費用削減が可能です。
例えば、通常よく使われる会議室利用や荷物受け取りサービスが含まれたプランであれば、その都度支払う必要はなく初めから月々の費用に含まれています。
そのため、「一度も利用しなかったパッケージ」の存在を避けるため、オプション利用を検討する前に自社が本当に必要とするものを確認し、それが毎月の収支にどのような影響を持つかを見ることが重要です。
3. 契約期間
通常の賃貸契約とは異なり、レンタルオフィスでは契約期間が1ヶ月単位など柔軟な契約が結べることも多くあります。しかし、一年単位の場合、違約金が発生する可能性があるため、注意が必要です。
初期費用が抑えられるというメリットもある一方で、契約更新料や違約金が高額となる場合もあります。そのため、月額費用以外の費用も確認する必要があります。
特に長期的な視点でレンタルオフィスを利用する場合は、更新料や違約金について詳しく調べておく必要があります。契約条項に定められた条件を事前に確認しておかないと、思わぬトラブルを引き起こす恐れがあります。
4. 会議室など共有設備の有無
一般的にレンタルオフィスでは、会議室や共有スペースが用意されています。しかし、設備の提供範囲はオフィスにより異なるため、入居前にきちんと確認しておくことが肝心です。
例えば、企画書を作成したり大人数で会議を行う場合は、ホワイトボードやプロジェクターなど、特定の設備が必要になってくる可能性が高いです。
また、会議室の広さや利用可能人数も注目すべき項目です。社員数が多い企業や、外部から参加者を迎え入れる機会がある場合には、十分な人数を収容できる会議室が必要になってきます。
5. 空調設備や間仕切りのタイプ
レンタルオフィスの専有スペースは「完全個室タイプ」と「半個室タイプ」の2つのパターンがあります。完全個室タイプとは、従来の事務所と同じような完全独立した個室であり、半個室タイプとはパーテーションで仕切られた区画であることが多いです。
どちらも良さがありますが、自社の業務に合わせて間取りを選ぶことが大切です。例えば電話や会議が多い場合は完全個室タイプを選ぶことで、周囲からの騒音を気にせず、プライバシーも確保できます。
また、快適な業務環境を確保するためには、空調設備についても事前に確認する必要があります。夏季などは、暑さや湿度の影響を受け業務効率が落ちることがあるため、専有スペースごとに風量や設定温度の調整が可能かどうかも重要なポイントです。
6. セキュリティレベル
ビルの入口では一般的にセキュリティカードを使用して入場制限が行われますが、個人情報を扱う業種や業務の場合、より高度なセキュリティ対策が求められます。
特に、人の出入りが多いレンタルオフィスではセキュリティ対策が重要になりますが、完全個室と半個室のどちらを選択するかは業界やその事務所で扱う情報に応じて決める必要があります。
また、ネットワークのセキュリティも重要です。共有Wi-Fiを利用する場合不正アクセスのリスクがあるため、専用のSSIDと暗号キーを付与するなどのセキュリティ対策があるオフィスを選ぶことで安心感を得ることができます。
7. 有人受付の有無
有人受付が常駐しているオフィスでは、来客への対応や郵便・荷物の受け取りが可能であるため、ビジネスを円滑に運営する上で便利です。
有人受付のあるオフィスを選択することで、時間的な余裕やセキュリティ面でも安心感を得られます。一方で、有人受付が必要とされるサービスオフィスでは料金体系も高めに設定されている傾向が見られますので、事前に予算内かどうかも確認しておく必要があります。
8. 立地や治安
交通アクセスが悪かったり周辺に騒がしいお店があったりすると、取引先からの信頼を損なうことにつながりかねません。また、オフィス周辺の治安も気になる点です。
よって、レンタルオフィスを選ぶ際には、周辺環境や治安面もチェックするよう心がけましょう。実際に地域を訪れてその雰囲気を感じ取ることも大切です。
また、周辺環境だけではなく、病院やコンビニが近くにあるかどうかなど、利便性も確認することで、社員の働きやすさや業務効率向上につなげることが可能です。
9. 駐車場の有無
多くのレンタルオフィスは、近隣のコインパーキングを利用することになります。しかし、その場合は駐車料金がかかるため、予算内に収めたい方にとっては追加費用となります。また、コインパーキングが満車であった場合は、駐車場を探す時間が余計にかかってしまいます。
そのため、レンタルオフィス自体が駐車場を提供しているかどうかも確認しておく必要があります。中には専用の専用駐車場を設けているレンタルオフィスもあるため、事前に情報収集を行いましょう。
レンタルオフィスを選ぶうえで注意すべきこと
レンタルオフィスを選ぶうえでは、以下の3点に注意することをおすすめします。
- 違約金などを再確認しておく
- 必ず内見をしてから決定する
- 利用時間を確認しておく
以上の点を十分に踏まえた上で契約することで最適なレンタルオフィスを見つけ、より事業を円滑に進めていくことができます。
1. 違約金などを再確認しておく
レンタルオフィスを検討する際には、違約金について再確認しておくことが重要です。
当初の契約期間より早く解約する場合などには違約金が発生することがあります。その際、具体的な金額や求められる条件が契約書に示されているか再度確認しましょう。
また、利用規約を把握しておくことも大切です。一部のレンタルオフィスでは、保証金や清掃費用、リフォーム費用などが別途支払われる場合があります。
また、長期間利用するか短期間だけの利用かによっても料金体系が異なることもあります。契約前に利用規約をしっかり目を通すことで、不意の出費を回避できる場合があります。
2. 必ず内見をしてから決定する
ホームページで公開されている情報と実際の印象は異なる場合があるため、目で見て確認することは欠かせません。
特に、クライアントや顧客が来る可能性がある場合は慎重さが必要です。駅からのアクセスや周辺環境、室内のインテリア、受付スタッフの態度など、クライアントに与える印象に直結する要素を顧客目線でチェックすることが大切です。
また、内見時にはオフィス内の清潔さや整頓具合も確認しましょう。清潔で整ったオフィスは心地よく働く環境を作り出し、労働生産性も向上させます。
3. 利用時間を確認しておく
多くのレンタルオフィスでは、一定の時間帯や曜日に制限が設けられています。例えば、夜間や週末に利用できない場合がほとんどです。
特に海外との業務を行う場合、深夜や早朝に作業を行う必要があるかもしれません。このような場合、24時間利用可能なレンタルオフィスを見つけなければなりません。
そのため、事前に利用可能な時間帯を確認し、業務内容や必要条件と照らし合わせて適切なレンタルオフィスを選ぶようにしましょう。
レンタルオフィスは安さだけでなく条件や実物を確認して決めよう
この記事では、レンタルオフィスの選び方について9つのポイントと利用のメリットについて解説しました。
レンタルオフィスの利用には、自社でパソコンやプリンターを用意する手間や、コミュニケーションの面でのメリットがあります。しかし、料金や設備についての十分な調査、契約の内容やルールなどにも注意が必要です。
条件や実際のオフィス・周辺環境をしっかりと確認し、最適なレンタルオフィスを見つけて、ビジネススタイルの最適化を目指しましょう。