作る前に知っておきたい
社長室のレイアウトに求められる4つの要素
会社の中でもっとも重要な部屋といえば社長室ですよね。
社長室は必ずこうでなければならないという決まりはなく、経営者の好みや会社の雰囲気などに合わせて自由にレイアウトできます。
この記事では、一般的に社長室に求められる要素について複数の視点から解説します。
社長室は関連性の高い部署の近くに配置する
社長室のレイアウトを考える前に、まず配慮する必要があるのが社長室の位置です。
社長室は社長の個室であると同時に、会社の中枢をつかさどる場所でもあります。
一般的に、社長室は組織図で社長直下にあり会社全体を統括する部門の近くに配置されることが多くあります。
会社の規模や組織体系によって多少異なりますが、たとえば総務部や経営企画室、広報室などと動線の良い場所に配置されるケースがほとんどです。
このほか、秘書室のように関連性の高い部署が同じフロア内に置かれることも多くあります。
配置を工夫することで、定例会議や打ち合わせなどが行いやすくなり業務効率がアップするほか、緊急事態の調整や準備などの機動力も上がります。
会社によって社長室の役割や権限、業務内容は異なりますので、それぞれの会社における社長室の位置づけを踏まえて検討しましょう。
社長室に求められる要素その①
社長室に求められる要素の1つ目が、機密性です。
社長室には、日々あらゆる重要案件が持ち込まれます。
社外秘や機密情報、顧客情報を含む書類なども多くありますので、情報漏洩のリスクに備えておかねばなりません。
たとえば、社外秘の中には会社の経営状況を示す数値情報、機密情報の中には未発表の新商品の価格やスペック情報などが含まれます。
万が一、こういったものが情報漏えいしてしまうと、大きなビジネスチャンスの損失につながってしまいます。
決算の下方修正情報などネガティブな内容であれば、会社の株価や経営に打撃を与えてしまう場合もありますので十分注意が必要です。
さらに、大事な顧客情報の流出はコンプライアンス上の大きな問題であり、せっかく築き上げた消費者との信頼関係が崩れてしまいます。
社会的な信用も失ってしまうかもしれません。
こうしたトラブルのリスクを軽減するためには、社長室に出入りできる人は限られた役職者や社長秘書だけに絞っておくのが理想的です。
社外の人はもちろん、一般社員は原則立ち入れないようにしておきましょう。
不必要な出入りを無くすために、社長室の前にあえて受付や扉を設けている会社も少なくありません。
また、盗撮を防ぐために、社長室に入る前にはカメラ付き携帯をあらかじめ受付やロッカーなどで預かるようにしているケースもあります。
社長室に求められる要素その②
社長室に求められる2つ目の要素が、経営戦略の策定に役立つスペースであるということです。
社長は会社の司令塔として指示を出しながら、あらゆる重要タスクの決断も速やかに下していかなくてはなりません。
しかも、その判断にミスがあると経営に響きかねません。
社長室は社長の戦略立案のための場所であり、そのための要件を満たしている必要があります。
社長のタイプもさまざまです。
戦略を立てる場合、ひとりでじっくりと考えたいという人もいます。
逆に、多くの部下と会議を行って意見を収集したうえで判断したいという人もいるでしょう。
観葉植物など多少の緑が視界に入るほうがリラックスして考えがまとまりやすいという人も多くいます。
ただし、いずれの場合においても共通していえるのは、うるさく雑然とした環境では考えがまとまりにくいということです。
動線に問題がなければ、社長室はできるだけ角部屋にして隣の音が気にならないように配慮しましょう。
また、窓のない閉塞感たっぷりの部屋でも、革新的なアイデアは生まれにくいものです。
適度に日当たりが良く、空気の入れ替えが可能な部屋を選びましょう。
やり方はさまざまですが、大事なのは社長が快適に業務を行えるかどうかという点です。
また、社長室の広さは主に利用する人数によって変わってきます。
主にひとりで使うのであれば、広すぎる部屋は落ち着きません。
その場で部下などと会議を行う用途があれば、ある程度のスペースがある空間に長机と椅子を置いたり、会議室を隣接させたりすると良いでしょう。
社長室に求められる要素その③
社長室に求められる3つ目の要素が、対外的なイメージを意識した作りになっていることです。
述べたように社長室には社外秘や重要な機密事項に関する情報も出入りします。
社外の人を気軽に招く場所としてはふさわしくないものの、会社の社長となるとメディアからの取材依頼も想定されます。
番組のコンセプトによっては、社長の1日に密着するようなものもあります。
そうなると、当然社長室で撮影を行う場面も出てきます。
カメラが入る場合を踏まえて、対外的に適切なイメージを保てるスペースであるかという点は非常に大事です。
たとえば、プレミアムなブランドイメージの商品を扱っているにもかかわらず、会社の社長室が普段訴求しているイメージとかけ離れたものだと消費者は失望してしまいます。
また、自動車メーカーであればミニカーを展示しておく、新車のポスターを貼っておくなど、背景として絵になる小物を設置しておくことも必要です。
加えて、取材相手は社外だけとは限りません。
社内報の新年号の社長メッセージや公式ウェブサイトに掲載する写真を社長室で撮影する場合もあります。
商談などで多くの来客が想定される会社であれば、応接室としての機能も求められます。
社長室を訪れるクラスであれば、会社にとっては大変重要なクライアントに違いありません。
ふさわしいテーブルとソファセットを設置しておくほか、お茶出し用の食器や湯沸かし器なども来客から見えない位置に収納しておくと、急な来客にも対応しやすくなります。
社長室に求められる要素その④
社長室に求められる4つ目の要素は、コンセプトを明確にすることです。
述べたように社長室は執務を行う場所だけでなく、会社の顔として社外からの取材を受けたり、来客応対したりといった目的でも使用されます。
そのため、「どう見られるか」ということも意識しておく必要があります。
大事なのはコンセプトです。
たとえば、プレミアムなブランドイメージを売りにしている会社であれば社長室には高級感が求められます。
企画力と革新性を打ち出していきたいIT系の会社であれば、センスや創造性あふれる社長室であるほうが良いでしょう。
銀行や法律事務所といった社会的な信用を重視している業種であれば、清潔感や重厚感が大事です。
このように、会社全体のイメージに合った社長室になるようにコンセプトを明確にしておきましょう。
コンセプトに合った壁や床の色、家具の形や材質、生地を選ぶことで室内に統一感が出ます。
飾り棚やソファなど、随所に会社のコーポレートカラーを取り入れることで、来客者も会社のイメージを視覚的に感じることができます。
ロゴマークとブランドメッセージを壁などの見える位置に大きく掲げておくことも大事です。
社長室のレイアウトは経営者の意向ありき
社長室のレイアウトは経営者の意向や会社のジャンル、目指しているブランドイメージによって大きく異なります。
まずは経営者が快適に業務できる空間であることが大事ですが、同時に会社の顔としての空間づくりも意識しましょう。
自分たちで良いアイデアが浮かばないという場合は、他社の例を参考にしてみるのもひとつの方法です。
社長室へのこだわりは、社内と社外の双方にとってプラスに働きます。
オフィスの移転などを機に社長室のリニューアルを検討しているのであれば、紹介したようなポイントを参考にして付加価値の高い社長室を目指しましょう。