2027年目前!
蛍光灯の廃止に備えてオフィスのLED化を進めよう
蛍光灯の「2027年問題」とは
2027年、蛍光灯の生産・輸入が禁止される「2027年問題」。これは、日本が批准している国際条約「水銀に関する水俣条約」に基づく措置であり、企業やオフィスビルのオーナーにも影響を及ぼします。本記事では、その背景や各メーカーの動向について解説し、LED化に向けた対策を考えます。
水銀に関する水俣条約と蛍光灯廃止の関係
水銀は人体や環境に深刻な影響を与える有害物質です。人体への影響としては、水銀を摂取すると神経系に影響を及ぼし、記憶障害や運動障害を引き起こす可能性があります。環境への影響としては、水銀は土壌や水中に蓄積し、生態系全体に悪影響を与え、食物連鎖を通じて人体にも取り込まれます。日本では過去に水俣病という深刻な公害病が発生し、これを受けて世界的に水銀使用の削減が進められています。
水俣条約とは?
「水銀に関する水俣条約」は、水銀の使用を制限するために2013年に採択された国際条約です。日本を含む多くの国がこの条約を批准し、段階的に水銀の製造・使用を規制する方針を取っています。条約の主な内容として、水銀を使用する製品の生産・輸出入の禁止、水銀廃棄物の適正な管理、環境中の水銀排出の削減が挙げられます。この規制の対象には、水銀を含む蛍光灯も含まれており、日本でもこの条約に従って蛍光灯の生産・輸入が段階的に終了することになりました。
日本における蛍光灯廃止の決定
日本政府は2020年に、蛍光灯の国内生産および輸入を2027年末までに終了する方針を発表しました。これにより、2027年以降は蛍光灯の新規生産・輸入が不可となり、既存の流通在庫はしばらく使用できますが、供給が不安定になることが予想されます。オフィスや商業施設では、照明設備をLEDへ移行する必要性が高まります。この決定により、今後オフィスや商業施設で使用される蛍光灯が徐々に市場から消えていくことが確定しています。
各メーカーの動き(製造中止スケジュール)
この方針を受けて、国内の主要な照明メーカーはすでに蛍光灯の生産終了を発表しています。一部の製品はすでに生産を終了しており、今後、在庫がなくなれば調達が困難になるため、企業・オフィスビルのオーナーは早めの対応が求められます。
主なメーカーの生産終了(予定)
DNライティング | 2016年3月末日までに蛍光灯の生産を終了し、以降は在庫限りで販売終了。 詳細:DNライティング公式発表 |
パナソニック | 2027年9月末までに蛍光灯の生産を終了し、以降は在庫限りで販売終了。 詳細:パナソニック公式発表 |
東芝ライテック | 2027年9月末までに蛍光灯の生産を終了し、以降は在庫限りで販売終了。 詳細:東芝ライテック公式発表 |
ホタルクス | 製品により、2026年12月~2027年12月までに蛍光灯の生産を終了し、以降は在庫限りで販売終了。 詳細:ホタルクス公式発表 |
なぜLED化が必要なのか?オフィスへの影響とメリット
LED化工事には一定のコストがかかります。「できれば期限ぎりぎりまで工事を引き延ばしたい」と思われるかもしれませんが、ぎりぎりまで待つことのリスクもあります。すでに各メーカーは蛍光灯の生産終了を発表しており、今後は市場在庫が減少し、交換用蛍光灯の価格が上昇する可能性があります。さらに、2027年に近づくにつれて、駆け込み需要が発生し、LED化工事の依頼が殺到することが予想されます。その結果、希望するタイミングで施工ができず、テナントなどとのトラブルにつながる可能性があります。
LED化には、さまざまなメリットがあります。早めに切り替え工事をおこなっておくことで、メリットを早くから享受できることにもつながるでしょう。具体的なメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
省エネルギー・コスト削減
LED照明は、蛍光灯と比較して消費電力が約50%~60%削減できるため、電気代の節約につながります。長時間使用するオフィスでは、その効果が特に大きく、電力コストを抑えることができます。さらに、LEDは発熱量が少なく、空調負荷の低減にも寄与するため、オフィス全体のエネルギー効率を向上させます。
長寿命でメンテナンスコストを削減
LEDの寿命は蛍光灯の約4~6倍にあたる40,000~50,000時間とされており、頻繁な交換が不要になります。これにより、照明交換の手間が軽減され、メンテナンスコストの削減につながります。特に天井が高いオフィスや、施工に専門業者が必要なビルでは、ランニングコストの面でも大きなメリットがあります。また、交換の頻度が少ないということは、それだけ工事のたびに業務を止めるリスクが減るということでもあり、入居中のテナントに喜ばれることにもなります。
テナントリーシングにも効果的
これからオフィスを探すテナントの視点では、LED化が進んでいるビルかどうかが入居判断の重要な要素になりつつあります。もし入居後に蛍光灯からLEDへの切り替え工事が必要になれば、その間は営業ができなくなるのか、工事の調整が必要になるだろう、そもそも本当にビルオーナーが入れ替え工事をやってくれるのか…というような不安要素が、物件を選ぶ際の大きな懸念材料になり得ます。あらかじめLED化が完了しているオフィスの方が、テナントにとって安心して選びやすいことは間違いありません。これは結果的に、ビルの入居率や資産価値の向上にもつながる重要なポイントです。
蛍光灯からLEDへ移行する方法
蛍光灯からLEDへの移行には、大きく分けて「既存の器具を流用し、管球のみLEDに変える方法」と「既存の器具を撤去し、LED器具に交換する方法」の2つの選択肢があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、自社の状況やコストを考慮して選択する必要があります。ここでは、各方法の特徴を解説します。
既存の器具を流用し、管球のみLEDに変える工事
既存の蛍光灯器具をそのまま使用し、蛍光管だけLEDタイプに交換する方法です。初期コストを抑えつつLED化を進めたい場合に適していますが、いくつか注意点もあります。
メリット:施工が早く、比較的安価に導入できる。大規模な工事が不要で、オフィスの稼働を止めることなく交換できる。
デメリット:器具自体が経年劣化している場合、後々器具ごと交換が必要になる可能性がある。また、安定器のバイパス工事が必要なケースもあり、適切な処置をしないと安全性に問題が生じる可能性があります。さらに、蛍光灯用の器具のままではLEDの性能を最大限に発揮できず、照度ムラが生じることもあります。
既存の器具を撤去し、LED器具に変える工事(おすすめ)
照明器具ごとLED専用のものに交換する方法です。初期コストはかかりますが、安全性やランニングコストの削減、LEDの特性を最大限活かせる点で優れています。
メリット:器具自体を新しくするため、劣化の心配がなく、長期的に安定した運用が可能。LED本来の性能を発揮できるため、省エネ効果が最大化される。安定器が不要になるため、不要な電力消費を抑えられ、安全性も向上する。
デメリット:初期費用が高く、施工時に天井のボード修復が発生するケースがある。そのため、工事のタイミングを計画的に調整する必要がある。特に、テナントが入居している場合、施工スケジュールの調整が必要になる可能性があります。
LED化を進める際のステップ
LED化工事をスムーズに進めるためには、事前の準備や計画が重要です。特に、既存の設備状況やコストを把握したうえで進めることで、無駄な費用を抑えつつ、効果的なLED化を実現できます。ここでは、LED化を進める際の具体的なステップを紹介します。
現状の照明設備の確認(蛍光灯の種類・数量・設置状況)
まずは、現在使用している蛍光灯の種類や設置状況を正確に把握することが重要です。蛍光灯のサイズ、ワット数、器具の種類(直管型・コンパクト型など)によって、適用可能なLED製品が異なります。さらに、天井の構造や電気配線の状態を確認し、LED化の際に追加工事が必要かどうかを事前に調査することもポイントです。
LED化の方法を選択(蛍光管交換 or 器具ごと交換)
先に説明したとおり、LED化の工事には管球のみを変更する方法と、器具から変更する方法があります。設備の老朽化やオフィスの運用方針などに応じて判断する必要があり、専門業者に一度現地を見てもらうのがよいでしょう。
費用・補助金のシミュレーション(工事費・電気代削減効果)
LED化には初期費用がかかりますが、長期的には電気代の削減やメンテナンスコストの低減につながります。導入前に「どの程度のコストがかかり、どのくらいの期間で投資回収できるか」 を試算しておけると安心です。また、国や自治体の補助金・助成金を活用することで、導入コストを抑えられる可能性があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
施工計画の立案とテナントとの調整
施工を実施する際は、業務への影響を最小限に抑えるため、適切なタイミングで工事を実施することが重要です。特に、入居中のテナントがいる場合は、事前に調整を行い、営業時間外や休日を活用して工事を進めるなどの配慮が求められます。テナントの入れ替えタイミングであれば、原状回復工事と同時にリニューアルを進めることで、スムーズな施工が可能です。
LED工事の実施と運用開始
施工が完了したら、点灯試験を行い、照度や色温度が適切であるか確認します。必要に応じて、LEDの調光機能を活用し、最適なオフィス環境を整えます。また、工事後のメンテナンスや保証内容も確認し、長期的に安定運用できるよう準備を整えましょう。
まとめ
2027年に蛍光灯の生産・輸入が終了することで、今後、オフィスビルでもLEDへの移行が避けられない状況となります。ぎりぎりまで待つことで、蛍光灯の価格上昇や工事の混雑など、余計なリスクが発生する可能性があり、早めの計画が重要です。
LED化には、省エネルギー・電気代削減・長寿命によるメンテナンスコストの削減といった多くのメリットがあります。また、LED導入済みかどうかは今後オフィス探しをするテナントの重要なポイントになるでしょう。
アットオフィスでは、LED化工事のご相談も承っています。費用や施工期間について詳しく知りたい、LED化が必要なのは理解しているが何から勧めればよいのか…というご不安がありましたら、お気軽にお問合せください。
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当記事の監修者
髙嶋 秀一郎 | 執行役員 デザイン企画部部長
得意分野:オフィス入居工事(オフィスコーディネート業務)、商品企画
20代で飲食業界から転身、オフィスコーディネーターとしてのキャリアを積む。その後、オフィスのOA機器メーカーで事業開発・商品企画部門の責任者を務め、主に新規事業(新商品)の開発に取り組んできた。
2022年10月よりアットオフィスに入社、入居工事までを一気通貫で提案可能なスキームを構築。オフィスの工事に関わる不安要素を払拭し、お客様に満足いただけるコーディネートサービスを提供している。