オフィスの移転コストを削減したい!
事務所移転費用の相場と節約するコツを紹介
企業にとって、事務所の移転というのは大きな負担となることがあります。特に、コストに関しては高額になってしまうことが多いため、できるだけ削減したいと考える企業もあるでしょう。
そこで、本記事ではオフィス移転費用の相場や、そのコストを削減する方法、オフィス移転時に活用できる補助金についても取り上げていきます。オフィス移転の費用に悩む企業担当者の方はぜひこの記事を参考にしてください。
オフィス移転のコストは削減できる
オフィス移転は、企業にとって莫大な費用がかかるものです。移転にかかるコストは数百万円から数千万円に上ることもあり、いかに効果的にコストを削減できるかが重要になってきます。
実際、コスト削減に工夫を凝らせば、数百万円単位で支出を大幅に削減させることができる場合があります。
次章からは、オフィス移転のコストを削減するためのヒントを紹介していきます。
オフィス移転コストの削減方法
まずは、オフィス移転に必要なコストとその削減方法を紹介していきます。
- 賃料
- オフィス家具・備品
- 内装工事
- ITコスト
- 引越し費用
- 原状回復費用
- 廃棄費用
どのコストをどのように見直せるか解説していきますので、自社の移転の際にコストが大きくなりそうなものを把握しておきましょう。
1. 賃料
オフィスの移転による賃料削減には、物件オーナーとの交渉による引き下げが一つの手段として挙げられます。また、賃料を下げるためには、専有面積を制限することも有効で、特にオフィスの規模が大きいほど賃料が高くなる傾向にあるため、必要以上の広い面積を確保する必要はありません。
また、オフィス規模を縮小させ、テレワークやコワーキング・シェアオフィスの活用を検討することも、オフィス賃料のコスト削減に貢献できます。
物件選びの際は賃料の安い立地を選択することも一つの手段です。ただし、立地条件は従業員の交通費や満足度にも影響するため、従業員の意見を事前に聞き入れ、バランスを取ることが重要です。
2. オフィス家具・備品
一般的に、オフィス家具や備品の見直しは、コスト削減に非常に有効です。
旧オフィスで使用してきたオフィス家具の中で、再利用できるものは新オフィスでも活用することができます。また、新品にこだわらない場合は、中古のオフィス家具の中から検討することでコストダウンを図ることもできます。
オフィス家具の購入は、デザインや機能性だけでなく、コストパフォーマンスにも注目しましょう。
3. 内装工事
次に、オフィスの内装工事予算をできる限り節約する方法をご紹介します。
使用する素材のグレードを調整する
オフィス内装工事費用には、使用する素材や施工方法、現状の設備などにより幅があります。 そのため、グレードの異なる素材を使用することで、工事費用を削減することができます。
スケルトンのまま使用する
コンクリートの床や天井など、スケルトン物件をそのまま使用する手法は、デザインとして認知されています。近年では、コスト削減を目的として、多くの企業がこの手法を採用しています。
相見積もりをする
業者を選定する際には、複数の業者に相見積もりを依頼することが重要です。価格が正当であると感じる業者の中でも、施工事例が多く、安心して任せられる業者を選択することが望ましいです。
居抜き物件
前の入居者が使用した設備や什器を残した物件を指す「居抜き物件」は、内装がそのままであり、設備や什器も利用可能です。
これにより、自前で設備や什器を準備するよりもコストを削減することができます。「居抜き物件」と言えば、主に飲食店や美容サロンなどが利用するイメージでしたが、現在ではオフィスでの利用事例も増加しています。
レイアウトを工夫する
間仕切りの必要がない場合は、内装費用を下げるためにパーテーションを利用するなど、レイアウトを工夫することで、初期費用を抑えることが可能です。
4. ITコスト
賃料コストに次いで大きな削減効果を期待できるのがIT環境の見直しです。
自社でサーバー管理を行う場合、多くの固定費用が発生するため、クラウドサービスを利用することで、必要な分だけ購入・使用することができ、投資した資金の回収が早く、維持・管理コストが低くなります。
クラウド上にデータが格納されていることから、テレワークなどを推進することで生産性の向上にも期待できます。
また、IT機器はリースやレンタルを利用して初期費用を抑えることができます。最新スペックのIT機器の使用は業務の効率化につながりますが、新しいものに買い替える際には都度コストがかかるため、リースやレンタルが適しています。
5. 引越し費用
オフィス移転を考える際には、引っ越し業者の繁忙期を避けるために、引っ越しの時期を計画的に決定することが重要です。
一般住宅や企業の引っ越し需要が高まる2〜4月や9月は、引っ越し業者が忙しくなるため、予算オーバーや、希望の日程通りに引っ越しができないこともあります。
また、オフィス移転の引越し業者を選ぶ際には、1社だけに絞らず、複数の業者を比較して検討することが大切です。同じサービスでも、業者によって費用が異なることがあり、できるだけ移転費用を節約するためには、複数の業者から見積もりを取り、サービス範囲や内容・費用内訳を詳しく比較することが必要です。
6. 原状回復費用
基本的に原状回復とは、賃貸テナントやオフィス、住居を借りた際にもとの状態に戻すことを指します。原状回復工事をする場合、入居後に自分自身の都合で取りつけた設備や内装を全て取り外す必要があります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインガイドライン」には、原状回復に関する明確な規約が規定されており、経年劣化や通常損耗部分については賃貸業者側が費用を負担すべきです。ただし、法人向けのオフィス物件では、借主側がこれらの部分に関しても全額支払いを求められる場合があるため、契約書の詳細を再度チェックし、必要な点について理解しておきましょう。
原状回復工事に必要な費用はオフィスの形状や設備等によって変動します。そのため一概には言えませんが、一般的な相場としては、小・中規模オフィスの場合、一坪あたり2〜5万円程度、大規模なオフィスでは一坪あたり5〜10万円ほどです。
原状回復費用を少しでも節約するためには、例え貸主が工事業者を指定している場合でも、他社と相見積もりをすることをおすすめします。1社の見積もりだけでは他社と比較することができず、市場価格もわかりにくいためです。
また、見積書が提供されたら、過剰な工事や共有区域の不必要な工事も含まれていないか確認するようにしましょう。例えば、「〇〇工事一式」という曖昧な表現があるかどうか注意深くチェックすることも重要です。
7. 廃棄費用
新しいオフィスに持っていく必要のないものを廃棄する際は、産業廃棄物として処理するため多額の費用が必要です。
2トン車では7~8万円、4トン車では12~15万円が一般的な価格帯です。しかし、オフィス什器はリサイクルに一定の需要があるため、リサイクル業者が買い取り可能な品目は、積極的に買取を依頼することで廃棄物処理コストを削減することができます。
オフィス移転時のコスト削減で気をつけたいポイント
オフィス移転時のコスト削減で気をつけたいポイントは以下の3点です。
- 生産性が低下しないようにする
- 長期的な視点で検討する
- 移転業者は一社に絞る
オフィスを移転する場合は、これらのことに注意し、コスト削減だけに焦点を置くことは避けましょう。
1. 生産性が低下しないようにする
オフィス移転費用の削減をした結果、業務が非効率になるほどコストを減らしてしまうことは避けるべきです。
無駄なコストを徹底的にカットする一方で、商品やサービスの品質を下げてしまうようなコスト削減は、顧客離れにつながるため避ける必要があります。
さらに、セキュリティ関連のコストや従業員のモチベーションを下げるようなコスト削減も逆効果となるでしょう。コスト削減をする際は、生産性とのバランスを考慮しながら行う必要があります。
2. 長期的な視点で検討する
オフィス移転でコスト削減をする際は、一時的な節約だけではなく長期的な視野を持って意思決定を行うべきです。
例えば、内装工事の費用を節約するためにフリーアドレス形式に変更したものの、チームの作業スタイルに合わない場合、レイアウトの再変更が必要になり、結果的に追加の工事費用が発生する場合もあります。
そのため、自社の業種や働き方などに合ったコスト削減をする必要があります。
3. 移転業者は一社に絞る
オフィス移転工事は1つの業者に任せることが望ましいです。
もし、引っ越しや設備工事などを個別の業者に委託すると、それぞれのプロセスで初期費用がかかり、合計費用が高額化する可能性があるためです。
ワンストップで対応してくれる業者に一括依頼することで、経費節減が期待できます。
オフィス移転には補助金も使える
コスト削減の他に、費用の心配を無くすためには「補助金」を使うという選択肢もあります。
以下の表でオフィス移転に活用できる補助金を3つご紹介します。
補助金 | 概要 | 補助金額 |
---|---|---|
ものづくり補助金 | 中小企業や小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応するための、革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセス改善のために必要な設備投資を支援するもの。
【基本条件】
|
100万円~4,000万円 ※各申請枠、従業員数による |
事業承継補助金 | 中小企業や小規模企業が事業再構築や事業合併などを行う上で必要な支出の一部を補助するもの。同時に、資源の引き継ぎも財政的に支援。このような取り組みにより、景気の回復を促進し国内の経済を活性化させる目的もある。
【基本条件】
|
50万円~800万円 ※事業内容による |
キャリアアップ助成金 | 非正規従業員である有期雇用労働者等のキャリアアップ促進のために、正社員化や待遇改善に取り組む事業主へ支給されるもの。
【基本条件】
|
※いずれのコースも事業規模や条件により支給額が異なる |
注意点に考慮してオフィス移転のコスト削減を
この記事では、オフィスの移転コストを削減する方法や注意点、そして事務所移転時に使える補助金についてご紹介しました。
大がかりな移転作業になるため、十分な準備と計画が必要ですが、コスト削減のコツを押さえておけば移転費用を抑えることができます。
また、補助金を利用することで、必要な資金を調達することも可能です。オフィス移転は長期的な視野で計画し、業務のスムーズな運営を見据えた上で慎重に決断するようにしましょう。