オフィスの内装工事|
工事の流れや費用の目安・節約方法をご紹介
オフィスは、働く人々の生産性やモチベーションに大きな影響を与える場所です。そのため、オフィスの内装工事は重要な要素となります。
しかし、内装工事の流れや費用については正確な情報を得ることが難しいことも事実です。本記事では、オフィスの内装工事に必要な工程や費用の目安、さらには費用を抑えるための節約方法を詳しく解説していきます。
オフィス内装工事を考えている方や改装を検討している企業の方は、ぜひ、記事を参考にオフィスの内装工事について正しい知識を身につけてください。
目次
オフィスの内装工事にはいくらかかる?
オフィス内装工事の費用相場について、主に物件の種類によって異なる点があります。
- スケルトン物件での相場
- 居抜き物件での相場
これらはあくまで一般的な相場であり、具体的な条件や規模によっても費用に差が生じることを理解しておく必要があります。
スケルトン物件での相場
スケルトン物件とは、内装や設備の施工がされていない状態の建物のことを指します。内装工事費用の相場は、坪単価で20万〜30万円程度です。例えば、30坪のオフィスの場合、内装工事には600万〜900万円程度の費用がかかることになります。
スケルトン物件を賃貸する際には、借主には退去時に原状回復義務があります。つまり、賃借人が入居する前の状態に建物を戻す必要があります。このため、工事による内装変更や設備追加などを行った場合、退去時に元の状態に戻すための費用も考慮しなければなりません。
スケルトン物件の工事は居抜き物件と比べて費用と時間がかかる傾向があります。しかし、その分内装空間を自由にレイアウトすることができるため、内装デザインにこだわりたい方にはおすすめです。
自分のイメージやビジネスに合わせて、理想の店舗やオフィスを作り上げることができます。
居抜き物件での相場
居抜き物件とは、前の借主が施工した設備や内装が残されている状態の建物のことです。このような物件では、内装工事費用の相場は、坪単価で10万円から20万円程度とされています。例えば、30坪のオフィス物件の場合、工事費には300万円から600万円程度がかかると言われています。
居抜き物件を利用する利点としては、既存の設備や内装を再利用できるため、スケルトン物件に比べて費用が安くなることが挙げられます。また、オフィスを早期に開設したり、デザインの手間を省きたい場合にもおすすめです。
ただし、デザイン自由度はスケルトン物件に比べて低くなります。部屋数や広さ、動線などに問題がないか確認する必要があります。あらかじめ要件を明確化し、契約前に詳細な打ち合わせを行うことで、後々のトラブルを避けることが重要です。
オフィス内装工事の内容
オフィス内装工事の内容として、以下の10項目について解説していきます。
- 仮設工事
- 軽鉄工事
- ボード工事
- 仕上げ工事
- 建具工事
- 電気・通信・照明設備工事
- 水道設備工事
- 空調換気設備工事
- 消防設備工事
- サイン工事
これらの内装工事の内容は、都内の30坪程度のスケルトン物件を想定した費用の目安です。オフィス内装工事では、デザインや機能性に加えてコストの面も考慮しながら計画を進めることが重要です。
仮設工事
仮設工事費は主に工事の安全を確保するために必要な費用です。この費用にはさまざまな項目が含まれます。例えば、足場組み費用や仮設トイレの設置費用、清掃費用、安全管理要員の人件費などが挙げられます。
具体的な相場としては、30坪程度のスケルトン物件での仮設工事費用は約13万円程度が一般的です。ただし、物件や地域によって異なる場合もありますので、あくまで参考程度にとらえてください。
また、居抜き物件の内装工事では、壁や天井、電気設備などの大がかりな工事が必要ない場合は、仮設工事費用を低く抑えることができます。これは、既存の構造を活かすことで施工期間やコストを節約することができるからです。
軽鉄工事
軽鉄工事費は、軽量な鉄骨を使用して天井や壁に骨組みを設置するための費用です。一般的な30坪程度のスケルトン物件での相場は約23万円程度と言われています。この費用は、材料や労働力などを考慮して算出されるものです。
軽鉄工事は、天井や壁の土台を施工する役割を果たします。内装空間の耐久性や安全性に関わる重要な工程であり、しっかりとした施工が求められます。また、一部の場合では、軽鉄工事はボード工事まで含めて進められることもあります。
軽鉄工事は「軽天工事費」とも呼ばれることがあります。この名称は、軽量な鉄骨を使用することから来ています。軽天工事は、部屋を区切りたい時に行われることが多く、その際に必要な天井や壁の骨組みを作成します。
ボード工事
ボード工事費には、軽鉄工事で施工される格子状の鉄骨に石膏ボードなどを貼り付けるための費用が含まれます。この費用は、施工面積や使用する材料、施工の難易度などによって異なります。
また、ボードを貼り付ける前に、遮音材や断熱材の施工が行われる場合もあります。これらの追加工事は、建物の音響性能や断熱効果を高めるために重要ですが、その分費用も増えることがあります。
さらに、ボードとボードの間はパテで埋められ、表面を滑らかに仕上げます。これによって美しい仕上がりを実現することができます。
尚、防音室など特殊な用途の場合は、特殊素材の使用や高度な技術が必要となります。そのため、費用が通常よりも高くなることがあります。
仕上げ工事
仕上げ工事費は、ボードの上にクロスなどを貼って壁や天井を仕上げるための費用です。一般的な30坪程度のスケルトン物件での相場は約330万円です。この費用は、「表装工事費」とも呼ばれることがあります。
仕上げ工事では、クロス以外にも塗装や左官などの方法で壁や天井を仕上げることができます。これらは内装空間のデザイン性に関わる重要な工程です。また、内装材のグレードや施工方法、什器の造作などによっても費用は前後します。
建具工事
建具は、建物内の開口部に取り付けられる設備で、ドアや窓、シャッター、自動ドアなどが含まれます。一般的な30坪程度のスケルトン物件での建具工事の相場は約78万円です。
この費用には可動部分(ドアや窓)だけでなく、可動部分を支える設備(ドア枠やサッシなど)も含まれます。
建具に使用される主要な素材は木材と金属ですが、一部にはガラス、障子紙、プラスチックなども使用されます。これによりデザインや機能性を追求することができます。
また、居抜き物件に残された建具を使用する場合、追加工事の費用はかかりません。ただし、既存の建具が修理や調整が必要な場合は別途費用がかかることもあります。
電気・通信・照明設備工事
この工事には、コンセントや電話、LANケーブルの取り付けなどが含まれます。工事費は、施工する場所や設備の数に基づいて検討されます。
照明器具の施工費は、1台あたり約1万円から2万円程度かかることが一般的です。また、照明スイッチを壁に取り付ける場合の費用は、1台あたり約5千円程度です。
部屋の用途に応じて、照明の種類や明るさを選定することが重要です。一般的には埋め込み型の照明が施工されますが、シーリングファン型やブラケット型なども選択肢として考えられます。
水道設備工事
水道設備工事は、給水や排水を行うために必要な設備を施工するための費用です。オフィス内での給水やトイレ、シンクからの排水には、適切な配管工事が必要となります。また、トイレやシンクなどの設備も、水道設備工事費に含まれます。
居抜き物件の場合、既存のトイレやシンクが改修済みであれば、特に追加費用はかかりません。ただし、新たに高圧洗浄が必要となる場合は、20万円から25万円程度の費用がかかることがあります。
空調換気設備工事
空調設備工事費は、換気や冷暖房に必要な機器を設置するためにかかる費用です。例えば換気扇やエアコンなどが含まれます。一般的な30坪程度のスケルトン物件での費用目安は約90万円程度とされています。
ただし、居抜き物件を利用する場合は、既存の空調設備を活用できることがあります。その場合、新たに設置する工事費を省くことができます。このような場合でも、配管工事や電気工事などの準備作業が必要になることがあります。
具体的には室外機と本体設備の接続作業や動力源の確保などです。これらの作業により、費用が割増されることがありますので、事前に確認しておくことが重要です。
消防設備工事
消防設備工事の費用は、建物の用途や構造に応じて設置が義務付けられている消火設備を設置するためにかかるものです。典型的な30坪程度のスケルトン物件においては、約50万円が一般的な目安とされます。
消火設備には、実際の火災発生時に迅速かつ効果的な消火活動を行うために必要な装置が含まれます。具体的には、消火栓やスプリンクラーなどが挙げられます。
これらの設備は、従業員や来訪者の安全を守るために必須のものと言えます。十分な消防設備を整えることで、万が一の火災発生時に早期鎮火や避難活動への対応が可能となります。
一方、居抜き物件は前借主が施工した設備や内装などが残されている状態です。基本的には既に消防設備が設置されている場合が多いですが、注意が必要です。
消防法や建築基準法の改正により、消防設備は10〜20年ごとに交換が必要とされています。したがって、居抜き物件においても定期的な点検や必要な交換工事を行うことが重要です。
サイン工事
サイン工事とは、オフィス内の案内板や表示物を設置する作業です。デザイン性や機能性に優れたサインは、オフィス全体の印象や利便性を向上させる重要な要素と言えます。
一般的なオフィスでは、エントランスには会社ロゴや社名の表示があります。また、トイレや個々の部屋では、人形マークやプレートを設置し、その部屋の用途を分かりやすく示すことが求められます。
費用の目安ですが、30坪程度のスケルトン物件でサイン工事を行う場合、約58万円が一般的な費用とされています。ただし、具体的な金額は案件ごとに異なるため、見積もりを取ることが必要です。
また、居抜き物件の場合には注意が必要です。居抜き物件とは、前借主が完成させた内装や設備が残っている物件のことです。このような物件では、再利用できない看板やサインが残されている場合、その撤去費用を考慮する必要があります。
オフィス内装工事の流れ
オフィス内装工事の流れは以下のような段階に分けて進められます。
- どのようなオフィスにしたいかを決める
- 内装工事業者を選定
- 内装デザインの設計
- 見積もり依頼・契約
- 内装工事スタート
- 引き渡し
目的に合ったオフィス環境を実現するために、段階ごとの進行をしっかりと把握し、確実な工事を進めていきましょう。
1. どのようなオフィスにしたいかを決める
オフィス内装工事の流れにおいて、始めにどのようなオフィスにしたいかを決める必要があります。まず、社内でオフィスのデザインについて相談し、最終的な決定をする必要があります。デザインは企業のイメージやブランドを表現する重要な要素ですので、慎重な検討が必要です。
次に、個々のデスクの配置方法を決める必要があります。個人のデスクを用意するのか、それともフリーアドレス方式にするか、は重要なポイントです。そして会議室が必要かどうかも検討する必要があります。会議室の広さや設備、使用頻度も考慮しなければなりません。
また、休憩スペースも重要なポイントです。従業員のリラックスやコミュニケーションを促進するためには適切な広さと充実度が必要です。そして部屋の分け方も検討しなければなりません。完全個室か半個室か、各部門ごとに分けるのか、は効率的な業務運営に影響します。
2. 内装工事業者を選定
内装工事は一般的にデザイン設計と施工の2つに大別されます。依頼する際には、これらを分けて依頼することも可能です。
ただし、それぞれにこだわることで満足度が高まりますが、業者選びや打ち合わせに時間がかかる場合や、分けて依頼する場合にはプロジェクトマネジメント費用が発生することがあります。
一方、すべての工程を一社に一括で依頼する場合は、計画をスピーディーに進めることができます。なぜなら、業者が全ての施工スケジュールを把握しているため安心感があるからです。
また、一社に依頼することで、デザイン設計から施工までのシームレスな連携が可能となります。
3. 内装デザインの設計
この段階では、まず業者に工事内容を明確に伝え、具体的な希望や要件を詳細に共有します。その後、設計者とのコラボレーションが行われ、内装デザインの図面化が進められます。
設計図を完成させるためには、設計者との相談が欠かせません。彼らは専門知識と経験を持ち合わせており、クライアントのニーズとビジョンを具現化するために最適な解決策を提供してくれます。
ただし、ビルによって工事が可能な範囲が異なる場合もあります。そのため、事前にビルの管理会社や関係者と連携し、設計図や工事計画がビルの規定や制約に適合しているかどうかを確認する必要があります。これにより、後々のトラブルや追加費用を回避することができます。
4. 見積もり依頼・契約
見積もりを依頼するときには、工期や作業内容、アフターフォローの有無などを確認する必要があります。これによって、予算内で目的を達成できるかどうかを判断することができます。
見積もりが問題なければ、契約を行います。しかし、希望や条件に合致しない場合は、業者を再選定する必要があります。オフィス内装工事は長期間使用されるものであり、その結果が長く影響を及ぼすため、十分な検討と選択が求められます。
契約段階では、費用や工期だけでなく、細かい作業内容や資材・素材なども明確化しておくことが重要です。また、アフターフォローについても確認しましょう。万が一問題や修理が生じた場合に対応してくれるサポート体制が整っているかどうかを確認することは必須です。
5. 内装工事スタート
内装工事の工事期間はおおよそ1ヶ月〜3ヶ月程度となります。この期間は、内装のレイアウトやデザインの現場確認が重要なポイントとなります。特に注意が必要なのは、イメージと実際の施工が異なる場合です。その都度、要望や修正を伝えることが必要です。
さらに、荷物の搬入に関しても注意が必要です。基本的にはビル側の許可を得て行う必要があります。具体的には、指定された日付や時間帯での荷物の搬出入を行うことが求められます。
特に大型の家具や複合機などはまばらに到着することがありますが、これらの搬入についても管理人とトラブルになる可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。
6. 引き渡し
内装工事が完了した後、竣工検査が行われます。この検査では、実際の工事内容がレイアウトや設計図に適合しているかを目視確認するために行われます。検査結果に問題がなければ、検査結果を確認して署名し、工事は引き渡されます。
オフィス内装工事費を抑えるには
オフィス内装工事費を抑える方法として以下の2点を紹介します。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 家具や設備を自社で調達する
効果的な予算管理と工事計画の立て方を学びながら、コスト削減とクオリティ向上を両立させることが理想的です。
複数の業者から見積もりを取る
オフィス内装工事の費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。3〜5社程度の業者を選定し、同じ条件で見積もりを依頼することがポイントです。
相見積もりという形で依頼する様子を伝えれば、業者間で競争意識が生まれ、費用の割引交渉の余地が生まれます。
家具や設備を自社で調達する
オフィスの内装工事費を抑える方法の一つとして、家具や設備を自社で調達するという方法があります。内装業者やデザイン会社に依頼する場合には、発注手数料や運搬費用がかかることがありますが、自社で調達すればこれらの費用を節約することができます。
ただし、オフィスの引っ越しや荷物の搬入には基本的にビル側の許可が必要となることを理解しておきましょう。また、家具や複合機などの大型のものが、別々の日に搬入されるとビルの管理人から注意を受けることもあるため、日付を指定してものの搬出入をする必要があります。
これらの点を考慮して、自社で調達を行う際には事前に十分な準備や計画を立てておく必要があります。
オフィスの内装工事は優先順位を決めてコストを抑えよう
オフィスの内装工事について、工事の流れや費用の目安、節約方法についてご紹介しました。
オフィスの内装工事は、企業のイメージや快適な働き環境づくりに大きく関わる重要な工程です。
工事の流れや費用の目安、そして節約方法を把握し、効果的な内装工事を進めることが求められます。この記事を参考にしながら、オフィスの内装工事を成功させてください。より魅力的なオフィス空間を創り出し、従業員のモチベーションや生産性の向上につなげましょう。