何から考える?
はじめてオフィスレイアウトを考える人のためのコツ
オフィスで効率よく作業するために必要な要素の一つとして、適切なレイアウトを行うということがあります。
ただ、オフィスのレイアウトをするといっても、具体的に何から手を付けたら良いか分からない人もいるでしょう。
今回の記事ではそんなレイアウトのコツを紹介します。
1. レイアウトは目的を考えることから
オフィスのレイアウトをつくるとき、最初にやるべき作業はレイアウトの目的そのものを考えることです。
どのようなオフィスレイアウトにしたいのかという大枠のイメージ、基本的な概要をつくる作業といっても良いでしょう。
この考えがしっかりとしていないとレイアウトをつくる途中でイメージと違ってきて、どんなオフィスにしたいのかが分からなくなってきます。
レイアウトの目的を考えるというと難しく感じるかもしれませんが、最初はザックリとしたものでも構いません。
そこからイメージを膨らませていき、徐々に具体的な部分へ移っていきます。
例えば人員増加にも対応できるように省スペースでつくりたいとか、逆に作業スペースはゆったりとれる広さにしたいなどです。
また、明るい雰囲気にしたいのか、落ち着いた雰囲気にしたいのかなどでもレイアウトは変わってきます。
このような事実は企業の社風はもちろん、職種や部署によっても向いているレイアウトは異なってくることを意味しています。
それぞれの企業や職種によって、求められる雰囲気や機能性は全然違うからです。
したがって、そのことを考慮しながら、自分たちのオフィスには何が必要なのかを見極めることが重要です。
2. まずはゾーニングでざっくり仕分ける
ゾーニングとは部屋の割り振りのことです。
オフィスとはさまざまなゾーンで構成されています。
個々のゾーンをオフィス全体にどう割り振るかを考えることは大切な作業です。
具体的なゾーンの種類としてまずは、来客者が立ち入れるゾーンが考えられるでしょう。
受付、打合せコーナー、応接室がこれにあたります。
次に考えられるのは従業員のみが立ち入れるゾーンです。
会社によってもさまざまでしょうが、総務や経理、営業などの部署に加えて、倉庫やサーバールームなども含めて良いでしょう。
また従業員と来客者が共有できるゾーンとして、打合せコーナーや応接室、喫煙室などが挙げられます。
各部屋を割り振るときの注意点としては、動線や使いやすさも考慮する必要があるということです。
例えば接客スペースが一番奥にあったら不便なので、通常は入り口近くにつくります。
さらに、各部署からトイレや給湯室への動線も大切です。
トイレや給湯室まで遠くなれば、会社で働く従業員には使いづらいものになってしまうからです。
また、なるべく日当たりまで考慮してゾーニングできると、使いやすくて気持ちの良い理想的なオフィスになります。
3. 関連部署や動線との関係で部屋の割り振りをする
各部屋の割り振りをするときのポイントの一つとして、部署単位で来客との関係性を考慮するというものがあります。
会社にはさまざまな部署が存在しますが、その中には関係性の深い部署もあれば、そうでない部署もあります。
そのため、一般的には関係性の高い部署同士は隣接したエリアに置き、関係性の薄いものは離す傾向にあるのです。
また、来客を迎えたときにすぐ近くに存在したほうが良い部署や部屋もあるでしょう。
そのようなものは、なるべく近くに配置するようにします。
ここまで考えて割り振りすると無駄がなく、効率的に作業できるようになるのです。
また各部屋の割り振りを考えるときには、部署別隣接マトリックスを作成しておくと視覚的にも理解しやすくなります。
これは部署ごとの関係性を調べ、それを表にまとめたものです。
表にすることで誰が見ても分かりますし、自分自身の頭の中を整理するのにも役立ちます。
なお、このように効率的に割り振られた各部屋というのは、動線という観点から見ても優れたものになるのはいうまでもないでしょう。
4. デスクのレイアウトの種類と向いている職種
デスクのレイアウトもさまざまな種類のものがあります。
そしてこれは、職種によって最適な形が変わってくるものです。
ここでは対向式レイアウト、フリーアドレス式レイアウト、スクール式レイアウト、ブース型レイアウト、背面対向式レイアウトの代表的な5つのデスクレイアウトを紹介しましょう。
最初の対向式レイアウトは最もポピュラーな形のレイアウト方法です。
その名の通り横長のデスクに一列に座り、比較的省スペースでも設置可能です。
プライバシーの確保は難しいですが、コミュニケーションが取りやすい利点があります。
フリーアドレス式レイアウトは一見すると対向式と似ています。
しかし、対向式レイアウトのように席が決まっているわけではなく、自由に座る場所を決められるのが特徴です。
出張や外出の多い営業職などに向いているレイアウトといえるでしょう。
次のスクール式レイアウトは、学校の教室内のようにデスクを同一方向に並べているのが特徴です。
銀行の店舗や受付業務のある秘書室など、接客業務のある業種に向いています。
また、電話オペレーターの仕事でも、このレイアウトを採用することがあるようです。
ブース型レイアウトはプログラマーやデザイナーなど、クリエイティブ系の職種で多く見られるレイアウト方式です。
高いブースで仕切られているので集中力を維持しやすく、一人で作業することが多いクリエイターには最適なレイアウトといえます。
ただ、少しコミュニケーションが取りづらくなるのが欠点です。
最後の背面対向式レイアウトは、企画や開発職などのチームでの共同作業が多い職種に見られるレイアウト方式です。
対面で顔を合わせないので作業に集中できる一方、背中合わせに並んでいるのですぐにコミュニケーションを取ることもできます。
そういう意味では、バランスの良いレイアウト方式といえるでしょう。
5. 部屋の中のレイアウトを考えるときのポイント
部屋やデスク回りのレイアウトを考えるときのポイントとなるのは、その面積や余白です。
一般的にデスク回りのスペースなら、縦700mm×幅1200mm以上が良いとされています。
作業を行うスペースは400mm以上です。
また、通路は最低でも800mm以上を確保しないと、スムーズに通ることができません。
執務スペースの適正面積としては、一人当たり2坪が最低限必要な面積といわれています。
ただ、実際は机のサイズや並べ方を工夫して、2坪以下にすることも可能です。
そのためにはもちろん、最大限スペースを活かすという意識が大切になってきます。
最終的にどのような構成にするのかは自由ですが、全体を通していえることは「間」が重要ということでしょう。
間というのは部屋の中の余白の部分であり、物が置かれていないスペースを指します。
これがある程度広ければ従業員は快適に感じますし、狭いと不快に感じます。
余白部分が全体に占める割合の標準は70%といわれているので、レイアウトを考えるときは参考してみましょう。
6. 問題の解決に向けたレイアウトを考える
社内のレイアウトというのは想像以上に影響の大きいものです。
レイアウトを見ていればその会社が従業員にどのように働いてほしいのか、どんな考えをもっているのかも分かってくるからです。
つまり、オフィスレイアウトというのは会社の価値観を表す鏡のようなものといえます。
そのため上手にレイアウトをつくれば、今まで以上に重要な情報や知識、社内間の意識などを共有できるようになるでしょう。
そのようなオフィスレイアウトをつくるためには、最初に社内の問題点を把握することが欠かせません。
問題点の把握こそが新しいレイアウトのヒントとなり、最終的には理想的なオフィスにするための原点となるからです。