フリーアドレスを採用する企業が増加?
オフィスにおけるメリットとは
政府主導で働き方改革が進められている現代日本では、従来からは想像もできないような働き方が続々と登場しています。
その中で、特に採用する企業が増加傾向にあるのが「フリーアドレス」というスタイル。
斬新で現代的というだけでなく、さまざまなメリットも持ち合わせている注目の働き方なのです。
今回は、フリーアドレスの基礎知識やメリット・デメリットをはじめとして、導入を成功させるコツなどについて幅広く解説していきます。
フリーアドレスとは?
フリーアドレスとは、その名の通り「社員のデスクが決まっていない」オフィスのことです。
従来のオフィスは、出社したら社員ごとに決められたデスクに着き、設置してあるパソコンなどを使って業務を行うというスタイルでした。
ところが、フリーアドレスでは社員それぞれに決まったデスクがなく、毎日自分の好きな場所で仕事をすることができるのです。
1人1台のデスクという概念がなく、業務の内容や状況、ほかの社員との協力の必要性などに応じて空いているところを使用できます。
仲の良い社員の近くのデスクにつくことで、モチベーションを上げつつ業務に集中できるケースもあるでしょう。
ただし、フリーアドレスには職種などによって向き不向きがあります。
営業職やコンサルタント職などは、デスクで作業する時間が短かったり、さまざまな部署や社員と連携したりするケースが多いので、フリーアドレスに向いています。
これに対し、デスクで長時間作業することの多い職種や機密情報などを扱う部署では、コロコロとデスクが変わると作業効率が悪くなりがちなので注意しなければなりません。
フリーアドレスのメリット
企業がフリーアドレスを導入すると、さまざまなメリットが得られます。
たとえば、毎日異なるデスクを使うことで、より多くの社員とコミュニケーションが取れるようになります。
1日の大半を過ごすこともある職場では、人間関係も大切ですね。
さまざまな社員とこまめにコミュニケーションを取っていれば協力もしやすく、より良い環境でスムーズに仕事を進められます。
また、仕事の内容などに応じ、必要な人材が一箇所に集まって効率的に仕事に没頭することも可能です。
物理的に近くにいることで、タイムロスや意思伝達の齟齬なども防げるため、他の部署などとのコラボも容易になります。
さらに、コストの削減にも効果的です。
毎日デスクを移動するとなると、自分の仕事に関する資料などを置きっぱなしにすることができません。
翌日デスクを移動してもすぐに確認できるように、必要な書類のペーパーレス化や共有化が進むきっかけになります。
営業職など、日中あまりオフィスにいない社員のデスクを常時用意する必要がないため、省スペース化にもつながります。
人事異動があったときも、デスクやレイアウトを移動させる時間、電源や電話回線などを移設するコストも節約できるのです。
フリーアドレスのデメリット
さまざまなメリットがある一方、フリーアドレスにはデメリットも存在します。
まず、頻繁に社員の居場所が変わるため、部署全員のマネージメントが難しくなりがちです。
上司と部下、同じ仕事を分担する同僚どうしのデスクが離れてしまうことにより、お互いの状況が把握しにくくなったり社内ルールの徹底が難しくなったりするケースもあります。
また、仲の良い社員の近くに座ることで、仕事という適度な距離感を保ちにくくなることもあるでしょう。
どうしても雑談をしてしまったり、仕事に集中できなくなったりして生産性が落ちてしまう可能性もあります。
さらに、ペーパーレス化が進んでいない部署では導入が難しいという点もデメリットです。
どうしてもペーパーで管理しなければならない仕事だと、毎日書類の束を抱えてデスクを代わらなければなりません。
書類の量によっては移動の時間も手間もかかりますし、毎日自分の書類を保管しておくスペースも必要になります。
生産性の低下やコストの増加につながるおそれもあるため、注意が必要です。
フリーアドレスのために必要なもの
オフィスにフリーアドレスを導入する場合、新たに必要になる備品もあります。
たとえば、複数人が一緒に着席できてコミュニケーションも取りやすい円形テーブルや長机。
人数の増減にも対応しやすく、省スペース化も実現できます。
オフィスの規模が大きければ、社員全員が情報を共有できるファイリングシステムも必要です。
スムーズに必要な情報を得られるよう、わかりやすくファイリングして閲覧可能な状況にしておかなければなりません。
また、デスクに自分の資料などを置いて帰れないため、個人ごとに書類を保管できる専用ロッカーも準備しましょう。
フリーアドレスでは、デスクトップパソコンを持ち歩くわけにはいきません。
社員ごとにアカウントなどを持ち、どのデスクトップパソコンからも企業のシステムにアクセスできる環境なら必要ないケースもありますが、基本的にはノートパソコンが必須となります。
自分が作業しているデータをノートパソコンで管理したほうが、セキュリティ面でも効率面でも有利です。
社内のどこからでもノートパソコンを使用できるよう、有線や無線でのLAN環境やインターネット環境を充実させておくことは、オフィスインフラにおいて欠かせません。
フリーアドレスの導入を成功させるコツ
フリーアドレスの導入を成功させるためには、いくつかコツがあります。
まず、企業全体として画一的に導入を決めるのはやめましょう。
部署やシステムによっては、フリーアドレスに向いていないケースもあります。
部署ごとに適性を判断し、業務内容に合わせて導入を検討することが大切です。
また、フリーとはいっても、人間関係や環境などによってデスクが固定されがちになることも珍しくありません。
完全に社員の自由にさせるのではなく、ランダムにデスクを決める方法やルールなどを取り入れるようにしましょう。
また、毎日周囲の社員の顔ぶれが変わっても集中して仕事に取り組めるよう、環境を整えることも欠かせません。
フリーアドレスのよさを活かそう!
フリーアドレスには、従来形式のオフィスでは考えられないような魅力的なメリットが数多くあります。
ただ、無計画に導入しても成功するとは限りません。
フリーアドレスの魅力を活かすには、メリットだけでなくデメリットや導入のコツなどを正しく理解し、業務内容に合わせた工夫が必要になります。
導入前に念入りにシミュレーションを行い、失敗しない環境づくりを心がけましょう。