賃貸オフィスを借りるときの入居審査とは?
審査の流れや通るためのポイントを解説!
賃貸オフィスを借りる際、必ず入居審査があります。賃貸オフィスを借りる際の審査は一般的な住居審査とは異なります。
賃貸オフィスの入居審査では、家賃を支払う能力や企業の将来性などが審査され、これらの条件をクリアしないと、賃貸オフィスの契約ができない可能性があります。
そこで本記事では、賃貸オフィスを借りるときの入居審査の流れや通るためのポイントを解説しています。
賃貸オフィスの入居審査とは
賃貸オフィスには必ず入居審査が行われます。貸主によって審査基準は異なりますが、大まかな審査内容は決まっており、総合的に判断されます。
入居審査は貸主にとって不安材料を取り除くために行われ、審査のポイントは会社の信頼性です。法人としての支払い能力や連帯保証人の支払い能力だけでなく、帝国データバンクや民間調査会社などの信用情報、事業としての将来性などが審査されます。
賃貸オフィスの入居審査手続きの流れ
賃貸オフィスの入居審査手続きの流れは以下のとおりです。
- 物件探し
- 物件の内見
- 物件の選定
- 申し込み・入居審査
スムーズに物件を探すには、事前に物件の希望条件をまとめておくのがおすすめです。物件の内見では、周辺環境やビルの場合は他のテナントの雰囲気も確認しておきましょう。
物件の入居申込のタイミングで必要書類を提出し、審査の申し込みをします。審査完了までに3日~1週間程度かかるのが一般的です。
賃貸オフィスの入居審査のチェックポイント
賃貸オフィスの入居審査にはさまざまな審査があります。貸主により審査基準は異なりますが、共通して審査されるポイントがあります。
ここからは、賃貸オフィスの入居審査の以下のチェックポイントについて解説します。
- 信用調査
- 業種やオフィスの使用方法
- 決算報告書
- 企業の将来性
- 連帯保証人の支払い能力
1. 信用調査
信用調査は、提出した書類のほか、帝国データバンクのデータなどで判断されます。帝国データバンクは、企業の業績や資産などを総合して点数で判断しています。他には、東京商工リサーチや、外資系企業はダンレポートを使う会社が多いです。
財務状況は非公開にしたいなど、会社によって公開できない事情があるかもしれません。しかし、信用調査会社のインタビューを受けず情報を開示できていないと、企業の業績を証明することができず、評価点が低くなる可能性があります。
また、帝国データバンクは賃貸契約以外でも使われている場合があるため、企業評価を下げないために、正確な情報を提供しましょう。定期的にインタビューを受け透明性のある情報公開を心がけることで、信用度は上がります。
2. 業種やオフィスの使用方法
これから新しく大きくなっていく業種や他社と比較が難しい業種は評価がしにくいため、点数が低くなることがあります。具体的には、宇宙開発や仮想通貨事業など、将来性はあるものの評価がこれからの企業にとっては比較するものがないという意味で、審査が厳しくなりがちです。
また、他のテナントからクレームがきそうな業種も懸念されます。たとえば、学習塾などは子どもの行き来で騒音が気になる人もいるのでトラブルを避けるためにも基準が高くなることもあります。
3. 決算報告書
決算報告書は企業の財務状況を確認するために提出を求められます。決算報告書の内容は支払い能力があるかどうかの判断に使われるため、利益が少なく損益が多いと、事業の安定性が疑われてしまいます。
そうなれば、企業の支払い能力が見込めないと判断され、審査に通過できないでしょう。決算報告書に記載されている数字は、企業の利益や損益も審査に大きく影響するため注意が必要です。
4. 企業の将来性
企業の将来性は、安定した支払い能力があるかどうかの判断材料の一つです。法人の場合でも審査されますが、個人で新たに事業を始める場合とくにしっかり審査されるでしょう。
そのため、事業計画をしっかり作り参考にしてもらう必要があります。個人で新たに事業を始める場合は実績や実態が見えにくいため、事業内容や事業の強みなど長期的な計画を詳細に伝えることが大切です。
5. 連帯保証人の支払い能力
企業の支払い能力に問題がなければ次は連帯保証人の支払い能力を審査します。審査は、企業と同じだけの支払い能力と安定性があるかが求められます。
そのため、連帯保証人にも必要があれば月収や貯蓄額の提示が求められる場合もあるでしょう。また、基本的に連帯保証人は1名ですが、2名に増やすことや保証会社を利用できるかどうかの基準が満たしているかも審査される場合があります。
賃貸オフィスの入居審査で落ちる企業の特徴
賃貸オフィスの入居審査で落ちる企業にはいくつか特徴があります。その特徴を把握せず申し込みをしても審査に通らない可能性があるため事前に確認しておきましょう。
賃貸オフィスの入居審査で落ちる企業の特徴を6つ紹介します。
- 資本金が少ない
- 個人収入が基準を満たしていない
- 法人で債務超過の場合
- 開業して1年未満の法人
- 役員報酬が少額
- 業種不明な商売
1. 資本金が少ない
本来、資本金が1円だったとしても法律上は問題なく会社を作ることは可能です。しかし、入居審査を通るための目安は1,000万円以上の資本金があったほうがいいと言われています。貸主からすると、資本金がある程度あるほうが安心できるからです。
資本金の金額にこだわりがなく、資金余力がある場合は、増資しておくことをおすすめします。
2. 個人収入が基準を満たしていない
一般的に、「個人収入がオフィス賃料の36倍以上」が理想と言われています。個人収入が賃料の36倍という条件を満たしていないと審査に通りにくいでしょう。
ただし、オフィスの場合は賃料が100万円を超えるケースもあり、「個人収入がオフィス賃料の36倍以上」の基準では借りられる人がいなくなる可能性もあります。そのため、極端に収入が少ないケースを除けば審査はそこまで難しいものではないでしょう。
3. 法人で債務超過の場合
法人で債務超過の場合、基本的に審査は通らない場合がほとんどです。諸費用の滞納などがある場合は審査に通るのは厳しいと思っておきましょう。ただし、保証会社の審査に通れば問題ないということも稀にあります。
また、追加出資を受ける契約があるといった状況の場合はしっかり説明をすれば、審査が進むことがあります。
4. 開業して1年未満の法人
多くの賃貸オフィスの審査で、二期もしくは三期分の決算書の提出を求められます。開業してある程度の年数が経っていなければ提出できず審査に回してもらえない可能性があります。
開業後1年未満は決算書類も揃っていないため、事業計画書や法人用の銀行通帳の写しなどの提出が必要になることがあるでしょう。また、企業としての与信ではなく、個人の与信で審査が行われる可能性もあります。
その場合、前職でしっかりとした経験を略歴書のような形で提出することも大切です。
5. 役員報酬が少額
すでに資産をある程度持っていると、役員報酬を取っていないという場合があります。その場合、年収の欄に0円と記載することがありますが、それだけで審査が通らなくなってしまいます。
役員報酬での年収が低い場合は、低い理由を補足するのがおすすめです。すでに多くの預金があり所得を取る必要がないといった理由があれば、審査内容を考慮してもらえる場合があります。
6. 業種不明な商売
オフィス賃貸では、業種によって審査が通らない場合があります。たとえば、水商売(アダルト系)や貸金業などの職業は営業時間もわかりづらく敬遠されがちです。
そのほかにも、公式サイトなどを見ても理解できないような業種も審査には通りにくくなります。これらの業種は借りられない、というわけではありません。しかし、保証会社を付けたり、敷金を増やして対応している場合があるようです。
賃貸オフィスの入居審査に通るためのポイント
賃貸オフィスの入居審査に通るためのポイントには、以下の4つが挙げられます。
- 貸主側の審査基準の傾向を調べておく
- 審査書類は早めに準備しておく
- 賃貸の下見や貸主との面談では印象良く対応する
- オフィス賃貸に慣れている仲介業者を選ぶ
ポイントを押さえることで契約がスムーズに進むため、事前に確認しておきましょう。
1. 貸主側の審査基準の傾向を調べておく
審査に通りやすくするために、貸主側の審査基準の傾向を調べておくことは大切です。貸主ごとにこだわっている審査基準は異なるため、不動産会社などに確認してみましょう。
不動産仲介業者の中には、入居希望者に申込書を書いてもらって、そのままオーナーに渡す不動産会社もいますので、自分たちの代理人としてふさわしい不動産会社かどうかはしっかり見極めましょう。
情報に詳しい不動産会社なら、個人オーナーか管理会社かなどで審査のこだわりの基準はある程度把握しているケースが多いです。
2. 審査書類は早めに準備しておく
審査書類は入居の申し込みをすると、数日で提出を求められることがほとんどのため、早めに準備しておくことが望ましいです。
審査書類の提出が間に合わないと、それだけで審査に通らない場合があるため注意が必要です。入居審査に必ず必要な書類は、主に以下が挙げられます。
- 申込書
- 登記簿謄本
- 会社概要
- 決算書
- 連帯保証人の身分証明書
- 連帯保証人の収入証明書
必要な書類が事前に揃っていれば、結果的に入居までのスピードも上がります。
3. 賃貸の下見や貸主との面談では印象良く対応する
貸主側からすると、印象の良い人にオフィスを貸したいと思うのは普通のことです。そのため、賃貸オフィスの下見や大家との面談では印象良く対応しましょう。
貸主は、実際に内見や面談のときの人柄で決定することもあります。また、できるだけ安く借りたいなどの理由で、極端に安い金額を条件にあげるのは避けてください。
オーナーの印象を悪くして、審査より前に判断されてしまう可能性があるので注意しましょう。
4. オフィス賃貸に慣れている仲介業者を選ぶ
オフィス賃貸の審査に通りやすくするためには、適切なアドバイスをしてくれる仲介業者を選ぶことも大切です。オフィス賃貸に慣れている仲介業者なら、審査の通りやすいオーナーや管理会社とのコネクションを持っている可能性があります。
また、オーナーと親密な関係を築いている不動産会社や仲介業者なら、交渉などで手厚いサポートも期待できるでしょう。
入居審査のポイントは「信用性」
賃貸オフィスを借りるとなると、「審査は厳しそう」「提出書類が多くて面倒」と思うことがあるかもしれませんが、入居審査のポイントは「信用性」です。
必要な書類を正しく提出することや入居審査に通ることは全て信用につながっています。これから賃貸オフィスを借りようと考えているなら、入居審査に通りやすくするポイントを押さえつつスムーズに手続きができるよう心がけましょう。