オーナー様へ
空室対策に
居抜きをすすめる理由
不動産の空室問題は、物件の魅力にも影響を与える重要な課題です。収益の減少だけでなく、物件の価値や魅力にも悪影響を及ぼし、オーナー様にとっては重要な懸念事項となります。現在の賃貸オフィス市場では、空室対策として「居抜き」がひとつの有効手段になります。このトレンドは、市場のニーズとともに急速に広がっており、その背後にはさまざまな要因が存在します。本記事では、オーナー様の立場から、居抜きがどのように空室問題の解決策となり得るのかを具体的に解説していきます。
条件が悪い環境下では差別化が必要
具体的な例を挙げてみましょう。2路線以下の駅の賃貸オフィスがあるとします。このような立地では、オフィス需要は極めて低く、3路線以上の駅に比べて明らかに不利な状況にあります。たとえ東京の中心地に位置していても、交通アクセスの悪さが大きなハンデとなり、入居者を引き寄せるのは容易ではありません。
また、オフィスの立地以外にも、周辺環境や施設の充実度が需要に影響を与えます。例えば、近隣に飲食店やコンビニエンスストア、銀行などの生活利便施設が少ない場合、オフィス利用者にとっての魅力が減少します。さらに、オフィスビル自体の外観や設備の老朽化も、入居者の選択に大きく影響します。新しい設備や快適な環境を求める企業が多い中、これらの要素が不足していると、入居者を確保するのは難しくなります。
こうした環境で賃料を安くせずに貸すためには、差別化のある貸し方が必要になってきます。
居抜きは高く貸すための武器
そこで昨今、対策とされているのが、あらかじめオフィス家具や設備が備わっている状態で貸す「セットアップオフィス」や「居抜き」です。大手のビルでは、セットアップオフィスを次から次へと作り貸し出しています。しかし資本力のない中小ビルの場合、同じことをするためには借入が必要になりますが、利負担を考えると投資回収リスクが高くなり現実的ではありません。
そのようなビル経営環境の中で、本来原状回復で消えてなくなるテナント資産を活用し、投資コストを低く抑えながら競争力のあるリーシングができるのが、居抜きでのリーシングです。
居抜き物件として提供することで、初期投資を抑えたい企業やスタートアップに対して大きなアピールポイントとなります。居抜きのメリットは、すでに整備されたオフィス環境を活用できるため、迅速に業務を開始できることです。これにより、他の競合物件に対して優位性を持つことが可能になります。
余裕のあるリーシングを行うことで、適切な価格設定での客付けができることが多い居抜き募集は中小ビルのオーナー様にとって多くの場合メリットがあり、高く貸すための武器になり得るのです。
空室期間の短縮と収益の安定化
リーシング開始時期も、本来解約後からしか始められませんが、居抜きであれば次のテナントが決まったらという発想で募集ができるため、空室期間をゼロにでき、且つ空室期間が長くなるとやりがちな投げ売り価格でのリーシングをする必要がなくなります。
市場のニーズに応える柔軟性
居抜き物件を提供することで、テナントは初期投資を抑えつつ、即座に業務を開始できる環境が整います。居抜き物件は、すでに整備されたオフィス環境を利用できるため、テナントは短期間でオフィスを稼働させることが可能です。
エコの観点からのメリット
居抜き物件は、前テナントのオフィス家具や設備をそのまま利用できるため、廃棄物の削減に寄与します。通常、オフィスを移転する際には、不要になった家具や設備が廃棄されることが多く、その結果として環境に負担をかけることになります。しかし、居抜き物件では、これらの資産が新たなテナントによって再利用されるため、廃棄物を最小限に抑えることが可能です。
このように、居抜きは環境保護の観点からも非常に有意義な選択肢となります。企業のサステナビリティへの関心が高まる中、エコフレンドリーなオフィス環境を提供できることは、テナントにとっても大きな魅力です。オーナー様にとっても、環境に配慮した物件としてのブランディングが可能となり、競争力を高める要素となるでしょう。
まとめ
総じて、居抜き物件は中小オフィスビルのオーナー様にとって、さまざまなメリットをもたらす選択肢です。空室問題の解決策としての効果はもちろん、賃貸オフィス市場における競争力を高めるための重要な要素となります。オーナー様は、居抜きという戦略を活用することで、より安定した収益と物件価値の向上を図ることができるでしょう。